あいちトリエンナーレ

あいちトリエンナーレ2010 OFFICIAL Blog

《Over the Table》トーク・イベントQ&Aをご紹介

2010/09/28 13:20|アーティスト

9月26日(日)、1日5時間、5日間に及ぶパフォーマンス/インスタレーション《Over the Table》が終了しました。この5日間はティム・エッチェルスとヴラトゥカ・ホルヴァによるコール&レスポンスが作品化されてきました。2人のアーティストによる対話と交流のプロセスを終えた後、それを見続けてきた観客との出会いの場を創出するべく、アフター・トークを開催しました。

20100928-1.JPG

アフター・トークで挙げられたQ&Aの内容を、ここに抜粋して紹介します。

Q1. T5(テーブル5)で繰り広げられた、英和辞書を使用して日英である言葉をカードに書き写し、カードを並べるパフォーマンスについて。カードの組み合わせには、テーマやストーリーはあるのでしょうか?

A1. T5の上で作られるカードの組み合わせには特にテーマやストーリーはありません。英和辞書の中で見つけられた言葉を使って、2人の共同作業として即興的に絵や風景が出来ていきます。また、時間と共にそこにある意味は変化を遂げていきます。

Q2. T4(テーブル4)では、色々なオブジェを作られていますが、何かテーマはあるのでしょうか?また作られた中で特に好きなものはありますか?

A2. T4では、日用品のようなどこにでもある素材を使用して馬鹿げたとも言えるオブジェを制作する、というタスクを設定しています。用意した素材の多くは捨てられていたり、どこかで使われていたものを使っていますが、既に使用済みの素材を用いることで私たちが作り上げたオブジェには、私たちが触れる以前の痕跡が見えます。

好きなオブジェについては、時やその時の気分と共に変化します。(ヴラトゥカ・ホルヴァ)

好きなものは、とても限られた素材やシンプルな造作で作り出されたオブジェです。例えばロープを何重にも巻いて縛っただけのものが、なんとなく人形のようにみえるオブジェとか。1つだけの素材を使用して何か別のものを作り上げることは、経済活動ともリンクしているように思います。山のようにある選択肢から何かを作り出すのではなく、これしか無いという限定された条件の中で無限の可能性を模索するのは、興味深いことです。(ティム・エッチェルス)

とても限定された範囲というのは、全てのテーブルにおいてルールのように設定しています。各テーブルはとても限られた要素で構成されています。例えばT1は手を使ってパフォーマンスをするという範囲内で、無限の可能性を追求しようと試みています。手の動きがパターン化されたとしても、日々新しい組み合わせやリズムが生まれるのです。可能性VS限られた要素は全てのテーブルに共通します。(ヴラトゥカ・ホルヴァ)

Q3. 長時間に及ぶパフォーマンスは、日常の生活とリンクするようなところがあるように思いますが、それは意識しているのでしょうか?

A3. 長時間パフォーマンスを続けることにより、確かに普段の生活の中で感じることをパフォーマンス中に体感できると言えます。時には疲れたり、眠くなったりしながら、創作活動を続けようと努力します。長時間続けることで良いアイデアが浮かんだり、楽しくなることもあります。長時間パフォーマンスをすることの意味は、疲れや予期できない展開への期待といった自身の状態を変化させるためとも言えます。そして、観客も巻き込み、人間による行為が空間を埋め尽くしていくという点も、日常生活とリンクすると言えるでしょう。

(E.N.)