8月10日(土)、いつでもだれでも自由に参加できる創作スタジオ〈いつでもプログラム〉の「きおくのへや」がオープンしました。普段は体験できないようなダイナミックなアートプログラムです。
「記憶って何だろう?」の問いかけに子どもたちは首をかしげます。「今日の朝ごはんは何食べた?」「クリームパンとトマトと牛乳飲んで・・・」記憶をたよりに必死に思い出してくれます。
記憶とは"忘れないでずっと覚えていること" まさに今回のあいちトリエンナーレのテーマの発端になった東日本大震災にとっても、大切なキーワードではないでしょうか?
新聞には震災関連の記事はもちろん、現代に起こっている良いニュース悪いニュース・・・記憶に留めて欲しい事柄がギッシリ詰まっています。それを素材として用いることで「きおくのへや」はつくられていくのです。
「きおくのへや」には、日常、家庭で見慣れた風景である、トイレ、お風呂、キッチン、ベッド、テレビ、机などが置かれています。子どもたちは新聞記事の内容や、新聞が記憶媒体であることなど気にすることなく、好きな形に切り抜き、置かれたトイレなどにどんどん貼っていき、知らないうちに現代アートを体験していきます。
理解しがたいもの・敷居の高いイメージの強い「現代アート」は、なにも特別な人や環境がなければ生み出されたり共感できないものではなく、子どもたちを含め現代人誰もが日常の中に転がっているアートに気づく目を育てることで、より多様な広がりをみせることが出来るのではないでしょうか?
「きおくのへや」から自宅へ戻った子どもたちが、家のトイレを見たとき何を感じどんな気づきを得たのかが、発案から携わった者としては楽しみなところです。
そして、「きおくのへや」での体験が未来の記憶となり、おとなになった子どもたちが「あいちトリエンナーレ」をよりおもしろいものへと復活させてくれることを、大きな目標に掲げて・・・
新聞につつまれた「きおくのへや」は、次は色におおわれます。そして最後は、参加者によって積層された創作の記憶をはがして発見していきます。
現在、「きおくのへや」は次の変身の最中です。
参加者全員でつくる毎日変わる現代アートに、皆様もぜひご参加下さい。
あいちトリエンナーレ2013アシスタント・エデュケーター 遠藤安子