8月11日、愛知芸術文化センター12階アートスペースGにて、パブリック・プログラム「スポットライト やなぎみわ」を開催しました。「スポットライト」は、一人の参加アーティストに脚光を当て、出品作品やそのプロセス、裏話などをじっくりと語ってもらうレクチャースタイルのプログラムです。今回は、同センター2階フォーラムⅠにて案内嬢プロジェクト「案内嬢パフォーマンス」を終えたばかりのやなぎみわさんを迎え、美術から演劇に活動領域を広げた2010年以降の作品や、新作「ゼロ・アワー 東京ローズ最後のテープ」の見どころについてお話いただきました。
2011年に「やなぎみわ演劇プロジェクト」を始動させ、大正期の築地小劇場やマヴォなど新興芸術運動の揺籃を描いた3部作、「1924 Tokyo-Berlin」「1924 海戦」「1924 人間機械」を手がけたやなぎさん。2010年にフェスティバル・トーキョーのプログラムの一環としてプロデュースされた、おばあちゃんメイドカフェ「カフェ・ロッテンマイヤー」が演劇的な作品の始まりだったというお話は、女性が空想する50年後の自分を表現した「マイ・グランドマザーズ」シリーズや、少女と老婆が登場する「フェアリーテイル」シリーズなど、演劇性、劇場性が見られるそれまでの写真作品からの展開として、深く印象に残りました。
そんなやなぎさんの原点は、学生時代に初めて見た唐十郎主宰の状況劇場のテント公演。「演劇病は感染したら一生モノ」というやなぎさんの言葉からも、今後の展開を期待しないではいられません。
(あいちトリエンナーレ2013エデュケーター 田中由紀子)