あいちトリエンナーレ2013開幕2週目となる8月17日、ナディアパーク2階アトリウムにて、クリエイティブ・デザインシティなごや推進事業実行委員会主催のクロス・キーワード特別企画「あいちトリエンナーレを支える名古屋のデザイン力」が開催されました。
あいちトリエンナーレ2013芸術監督の五十嵐太郎さん、公式デザイナーの廣村正彰さん、公式デザインチームから平井秀和さんと藤本康一さんを迎え、クリエイティブ・デザインシティなごやディレクターの江坂恵里子さんを進行役に、今回のトリエンナーレのサイン計画や、チラシやグッズのデザインで大切にされたことや苦労された点などが話されました。
廣村さんによれば、チラシやポスターをはじめ、看板やバナー、グッズなど、さまざまな場面で目にするトリエンナーレのロゴマークは、「揺れる大地」というテーマから地面が割れていくさまをビジュアル化したものだとか。目的やスペースにより6タイプを使い分けながらも、統一したイメージを繰り返し使用することで、あいちトリエンナーレのイメージを浸透させていったそうです。
五十嵐さんは、ロゴの色にこだわったそうです。県からは前回のイメージを踏襲してはという意見もあったそうですが、夏空や海を想像させる鮮やかなシアンのロゴは、廣村さんの戦略どおり、すっかりあいちトリエンナーレ2013のイメージとして定着しています。
教育普及関係のチラシやキッズトリエンナーレで使用するダンボール家具などのデザインを担当した平井さんは、折り紙にして遊べたり、折って横から見ると文字の組み合わせが変わったりと、手に取って楽しめるチラシをデザイン。オノ・ヨーコの作品をリーフレットにしたものでは、彼女のインストラクション(言葉による指示)の書体を明朝とゴシックを交ぜることで、強烈な印象や違和感が伝わるよう心がけたそうです。
企画コンペやオープンアーキテクチャーなどのチラシを手がけた藤本さんは、すべてのチラシのビジュアルを、ロゴをモチーフに構成。たとえばパブリック・プログラムのチラシでは、ロゴの右下のブロックを抽出してメインビジュアルをデザイン。人の横顔にも見えるそのビジュアルには、人が集い、話をすることで考え方の広がりを目指す場がイメージされています。
後半には、短期間に行われるトリエンナーレのような取り組みにデザインが果たす役割として、ロゴやイメージカラ―をさまざまな形で繰り返し展開することで、ビジュアルアイデンティテイを確立していけるということが話されました。
今回のお話から、展示やプログラムだけでなく、ロゴやチラシ、会場デザイン、公式グッズなど、さまざまな形でデザインがトリエンナーレに関わり、トリエンナーレを支えていることを感じないではいられませんでした。
(あいちトリエンナーレ2013エデュケーター 田中由紀子)