10月20日、愛知芸術文化センター12階アートスペースGにて、パブリック・プログラム クロス・キーワード「あいちの結婚式"ハデ婚"でデフレ脱却めざせ」を開催しました。株式会社リクルートマーケティングパートナーズ ブライダル総研研究員の金井良子さんを迎え、あいちトリエンナーレ2013コミュニティ・デザイナーの菊池宏子さんを進行役に、全国的に派手でお金をかけると言われている東海エリアの結婚式の実情を検証しながら、結婚式に見られるあいちの気質についてお話しいただきました。
まず、NHK「ナビゲーション」で2012年9月28日に放送された「結婚は日本経済を救う!?」という特集の一部を来場者に見ていただきました。番組では、愛知の「ハデ婚」が息子や娘を持つシニア層の消費の活性化につながっていることや、結婚式産業にまつわる雇用の拡大、結婚を機に家族のために収入を得たいという若者の労働意欲を高めていることを伝えていました。
それを受けて金井さんにお話を伺ったところ、結婚にかける費用の総額は全国平均で340.4万円のところ東海は333.7万円で、1位は福島県の374.4万円だそうです。総額は全国平均以下であるものの、招待客にかける費用はというと、全国平均が1人あたり1万7700円に対し、東海エリアは1万8500円と首都圏に次ぐ2位であることや、引出物にかける費用が1人あたり8000円で首都圏、富山県に次ぐ3位であることから、招待客一人一人にかける費用が高い傾向が見られるそうです。
また、バブル期のハデ婚、景気停滞期のジミ婚を経て、震災以降は感謝の気持ちを家族や友人に伝える結婚式へと変化しており、これまで裏方だった家族に感謝する演出として、お色直しのエスコート役を家族が務めたり、両家の両親と共にケーキカットを行ったりすることなどが流行っているそうです。さらに近年の変化として、新郎新婦からゲストに感謝するばかりでなく、列席者から新郎新婦へのサプライズ演出など、双方向のコミュニケーションが図られていることを話されました。
後半には、金井さんが携わるエンゲージメントプロジェクトを紹介しながら「人と人とのつながりを深め、相手を大切に思う気持ちを伝える場は結婚式だけではない。結婚で終わりではなく、人生の節目にエンゲージメントの機会をどう増やしていくか」とプロジェクトへの抱負を述べられました。あいちトリエンナーレ2013でも、ヤノベケンジさんの展示空間で《太陽の結婚式》が執り行われましたが、今回の金井さんのお話から、結婚が一組の男女をつなぐばかりでなく、その家族や友人をつなぎ、さらに新たな家族を育むものであることを再認識しないではいられませんでした。
(あいちトリエンナーレ2013エデュケーター 田中由紀子)