World Biennial Forum No 1: Shifting Gravity
http://www.worldbiennialforum.org/

 

飯田志保子
(あいちトリエンナーレ2013共同キュレーター)

 

2012年10月27日-31日まで、韓国光州市、オランダに拠点を置く非営利団体ビエンナーレ・ファウンデーション(http://www.biennialfoundation.org/)、 ドイツの文化外交機関として同国の国際文化交流を担う団体ifa(http://www.ifa.de/en/ifa/ziele/contact/)三者の共催により、世界各地のさまざまなビエンナーレ/トリエンナーレ従事者が会する「第1回ワールド・ビエンナーレ・フォーラム」が開催されました。数あるビエンナーレのなかでも、1995年の創設以来アジア地域で最も世界的な注目を集めるビエンナーレとして歴史を築いてきた光州が第一回目のホストとなり、ウテ・メタ・バウアーUte Meta Bauerとホウ・ハンルゥHOU Hanruの共同ディレクションの下「Shifting Gravity(シフティング・グラヴィティ)」をタイトルに掲げ、世界から22のビエンナーレのショート・プレゼンテーションと協議から成る6つの「ケース・スタディ」が二日間に渡って行われました。
プレゼンテーションとならび、過去20年で特にアジア地域でビエンナーレが急増した背景と文脈をより専門的かつ学術的に、運営形態の議論とは異なった政治的・社会的・文化的側面から考察するため、ワン・フイWANG Hui、ニコス・パパステルジアディスNikos Papastergiadis、シャンタル・ムフChantal Mouffeの3名がゲストとして招かれ、中国における民主化と社会体制の変化、マイグレーション、コスモポリタニズムについてのキーノート・レクチャーも各日行われました。また、初日最後にはハンス・ウルリッヒ・オブリストHans Ulrich Obristによる韓国のアーティスト、ムン・キョンウォンMOON Kyungwonとチョン・ジュノJEON Joonhoへの「News from nowhere」プロジェクト(http://www.newsfromnowhere.kr/)に関するインタヴューが行われたほか、二日目の最後にはレネ・ブロックRene Blockによる包括的なスピーチが行われました。ブロック氏が前館長を務めていたカッセル(ドイツ)のクンストハレ・フリードリチアヌムKunsthalle Fridericianumでは、2000年に同様のビエンナーレ会議が初めて開催されています。以後、各地で増加し続けているビエンナーレ事業に対する考察と、専門的なアライアンス設立の可能性に関して協議すべき点を提言した氏のスピーチは、二日間の一般公開プログラム閉幕後に非公開で実施された各ビエンナーレの代表者ミーティングの貴重なアジェンダとなりました。代表者ミーティングでは、本フォーラムに対する実践的な提言と今後の可能性について、実地に基づいた意見交換が行われました。
同時期韓国では、第9回光州ビエンナーレ、第7回ソウル・インターナショナル・メディア・アート・ビエンナーレ(メディアシティ・ソウル2012)、釜山ビエンナーレ2012が開催中。プログラム三日目はソウルに場所を移し、リウム・サムソン美術館、メディアシティ・ソウルの視察、ソウル市美術館のよるレセプション、4日目には釜山ビエンナーレを視察するオプショナル・ツアーもあり、非常に密度の濃い、充実のプログラムでした。

概要は以上で、ここ(次)からは各「ケース・スタディ」で特徴的だったビエンナーレを順にコメントして、全体の所感を記したいと思います。なかには、小規模で日本ではあまり知られていない地域で、政治的あるいは教育的な必要性に駆られて開催されている、非常に興味深い実践の事例も報告されました。