あいちトリエンナーレ

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楊福東(ヤン・フードン)作品の上映について

2010/08/27 18:59|アーティスト

8月21日(土)のオープニングより、映写機の不調により残念ながら公開を見送っていたヤン・フードン作品の上映を、28日(土)18:00、29日(日)13:00、16:00の3回の日程で行うことが決まりました。

 現代アートでは映像を用いた作品をよく目にしますが、そのほとんどは扱いの容易なビデオ・プロジェクターを使用したものです。
しかしヤン・フードンの本展への出品作品は、映画館で劇映画を上映するために用いられる、35mm映写機18台を使って行う大掛かりなものです(つまり、ちょっとしたシネコン規模の機材と労力を必要とする作品といえるでしょう)。そのため、当初よりセッティングには技術的な困難さがあることを想定していたのですが、日本に到着した映写機は予想以上に状態が悪く、メンテナンスのために多くの時間と労力を必要としました。

 それでも技師たちの献身的な努力によって、オープニング前日に行われた、20日(金)の内覧会では、特別レイトショーという形で、何とかマスコミや批評家など関係者の方々にご覧いただきました。
これで初日から公開できるか、という可能性も見えてきたのですが、作品の上映終盤に、突如すべての映写機がストップし、場内が真っ暗になるという状況に陥りました。
鑑賞されていた方々からは、「ブラボー!」の声も上がり、劇的な幕切れにも見えたのですが、実はこの時、映写機の内の2台がダウンして、ブレーカーが上がってしまうという事故が起こっていたのです。
 初日より作品が公開できない、という残念な状態となってしまったのですが、その後も技師たちにより映写機の修理や調整は続いており、なんとか今週末から公開ができないか、と模索していました。現在も2台の映写機が動かない状態なので、完全とはいえないのですが、映画は2台の映写機を交互に操作して上映する仕組みなので、フィルムの切り換えで多少空きの時間ができてしまう、という問題点もありますが、それでも作品の本質を大きく損なうものではないと考え、今回、暫定的に3回の上映を行うこととしました。

 今後も、映写機の修理の他、フィルムの状態が悪いためその修復も必要であること、またブレーカーが上がってしまったことを受けて、電気の配線も見直さなければならない、といった課題がありますが、何とか毎週末に定期的に上映をおこなう方向で、調整を進めたいと考えています。皆様にはこうした点をご理解の上、ご鑑賞いただければ幸いです。

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《Dawn Mist, Separation Faith》 2009

(T.E)