【EXT】ドラ・ガルシア
レクチャーパフォーマンス『ロミオ』

  • Photo: Takeshi Hirabayashi

一般人を装ったパフォーマー、そして時には無自覚な観客さえもが役や行為を演じてしまう様々な「委任されたパフォーマンス」を展開することで知られるアーティスト、ドラ・ガルシア。観客が傍観者ではいられないような演劇的状況を作り出すことによって、観客と作品、行為と鑑賞の関係性を問い直す。

現代美術展の一部として展開されるガルシアの作品は、2005年のマドリッドでの初めての展示からブリュッセル、パリ、ロンドン、トロンヘイム(ノルウェー)を経て、今回日本では初めての公開となる《ロミオ》。本作は冷戦時代、東ドイツの伝説的なスパイ・マスター、マルクス・ヴォルフが主導した諜報作戦から着想を得ている。この作戦では、「ロミオ」と称した若い男性諜報員たちが、西ドイツの行政機関で秘書として働く女性たちに狙いを定め恋愛関係を築き、機密情報を収集していた。しかしターゲットの女性たちは、ロミオたちの裏の目的を見透かし、それが本物ではないと分かっていながらも彼らの「愛情」を享受し続けた。そこからガルシアは「ロミオたちの愛情はなぜ本物と言えないのか」、「本物の人間関係とはなにか」という問いを投げかける。今回の《ロミオ》で検証されるのはこうした問いである。魅力的な男性たちは非の打ち所がないほど礼儀正しく、好意的に来場者にアプローチする。果たして来場者たちはロミオたちの行為をパフォーマンスだと自覚した上で、彼らの好意を本当のものとして受け取るだろうか。

さらに今回、あいちトリエンナーレのために特別に行われるレクチャーパフォーマンスでは、記者会見のように設えられた舞台上にロミオたちが登場。観客との質疑応答のなかで、ガルシアはロミオたちに質問を投げかけたり、さらに特別にロミオたちからの質問に答え、パフォーマンスのからくりを明らかにしていく。

エクステンション企画:国際現代美術展参加作家によるレクチャー形式のパフォーマンスや、作品の集団鑑賞と議論の場を組織する企画。

ドラ・ガルシア

  • 1965年バリャドリッド(スペイン)生まれ
  • バルセロナ(スペイン)/オスロ(ノルウェー)拠点
  • Photo: Bruno Dubner


映像やインスタレーション、パフォーマンス、演劇、ドローイングまで、幅広い形態で制作を展開している。彼女は、制度によって管理される環境に対し、例えば観客が傍観者でいられない、議論が巻き起こるような演劇的状況を作り出し作品とする。その空間にはしばしばパフォーマーが介在し、観客のあらゆるタイプの行動や意思決定と共に、作品に影響を与えたり変化を及ぼしたりする。アーティスト、作品、観客をめぐる関係性を探ることで、コミュニケーションの過程に焦点を当て、観客が批評的な意識で作品に関わる重要性を視覚化する。

主な作品発表・受賞歴

2018 個展「Segunda Vez」ソフィア王妃芸術センター、マドリード(スペイン)
2012 ドクメンタ(13)、カッセル(ドイツ)
2011 第54回ヴェネツィア・ビエンナーレ、スペイン館、ヴェネツィア(イタリア)
2008 第16回シドニー・ビエンナーレ「Revolutions – Forms That Turn」、シドニー(オーストラリア)
2007 ミュンスター彫刻プロジェクト2007、ミュンスター(ドイツ)

公演パンフレット

公演情報

公演日時 8月3日(土)14:00
8月4日(日)12:00
上演時間 45分(予定)
上演言語 英語/日本語(逐次通訳)
チケット料金
1,300円
注意事項 未就学児はご入場いただけません

舞台写真

Dora_01 Dora_02 Dora_03

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Photo: Masahiro Hasunuma

地図

愛知県芸術劇場大リハーサル室(B2)

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