透明な気配

《透明な気配》 2015 photo: 大須賀信一 Courtesy of GALLERY CAPTION

展示情報

会場
N52[栄会場]
旧明治屋栄ビル

寺田 就子

TERADA Shuko

1973年大阪府生まれ
京都府、岐阜県拠点

寺田は日常に溢れる透明・反射素材の器や文具、遊具を組み合わせながら、淡い光が細やかに行き交い、抑制された色彩が照り映える奥行き豊かな空間を創りだす。その小さきものへの愛着は、幼い日々の遊戯のような、親密な世界への無条件の没入を思いださせて懐かしい。また、構成の中心やアクセントとして登場する球形や円形が、作品全体に架空宇宙の縮減模型のような印象を授けていく。もちろん作品の核心は、幼少期の空想との近似ではない。むしろ重要なのは、寺田の制作が、今日可能なひとつの感受性の呈示となっている点である。作品の微細さは、その分、私たちの預かる空間の広がりでもある。その気づきこそ、彼女の作品にふれる喜びである。