コラムプロジェクト
アーティストの虹-色景
土地にはそれぞれ固有の色があり、色材は古くから原料の生産地より海を渡り、旅をしながら各地の創造活動に貢献してきた。地域特有の色彩は、気候、風土の自然条件と言語、建築、ファッションなど生活文化をとおして形成され、色の名は知覚や季節感などに密接と関わっている。本企画では、アーティストらが選んだ写真と色をもとに、港千尋と三木学が考案した画像色彩解析ソフトウェアを用いて、あいちトリエンナーレ2016オリジナルのカラーチャートを作成。それらの集積を「世界の色景」として眺めることで、色の文化がもつ多様性を考察していく。
本プロジェクトでは、オリジナルのカラーチャートを2種類作成する。
1つは、栞(しおり)型のカラーチャートである。アーティストの撮影した写真、写真から選んだ色、創造した色名を基に色彩分析を行い、色空間における写真の色の分布と色名の位置を関連付けて構成する。
今回は、色の3属性である色相、明度、彩度を、それぞれ円周、高さ、半径の3軸にした、知覚的尺度に基づくマンセル表色系の円筒状の色空間を用いる。色空間と照らし合わすことで景色やアーティストの無意識に潜んでいる知覚や感性の風景=色景(Colorscape)が現れる。
栞は会場に展示される巨大な色空間の地図に貼られることで、「アーティストの虹」を描き出し、会場で配布されることで、人々を知覚と感性の旅に誘うだろう。
もう1つは、スライドショームービー型のカラーチャートである。7つの色が7つの楽器に対応しており、アーティストの写真は、色彩楽譜に変換される。そして、写真は左端から1列ずつ音楽を鳴らすと同時に変化するカラーチャートになる。音楽は色や写真を呼び起こし、もう1つの色景となる。ムービーはネット上に公開され、「虹の音楽」を奏でて芸術祭の開催を知らせるだろう。
プロジェクトメンバー
ディレクター:三木学
スーパーバイザー:港千尋
デザイン:谷本研
映像:木村利行
映像ソフトウェアプログラミング:南方郁夫
音楽自動生成アルゴリズム:DOZAN11
協力:丸山美佳、PhotoMusic制作チーム、トランス・センソリー・ラボラトリー