映像プログラム
ボリス・ラベ
Boris LABBÉ
1987年ラヌムザン(フランス)生まれ
マドリード(スペイン)、ラヌムザン(フランス)拠点
グラフィック・アーティストとして活動を始めたが、近年、既存の時間・空間の概念を越えた、インスタレーションによる実験的なアニメーションの発表を行っている。彼の作品は始まりと終わりがループとして繋がった、エンドレス状態で上映される点に特色がある。それは映画前史のフェナキスティスコープやゾートロープといった装置が、円環構造によりある一定のパターンとして動く映像を提示していた事実を想起させる。そして、あまりにもプリミティブなため、今日では顧みられることが少なくなったループ映像に、表現としての新たな可能性を与えたといえる。
『Rhizome』もまた、この方法論の延長上に制作された作品であるが、精緻な結晶状の構造体が無限に行進する様は、ノーマン・マクラレン『カノン』(1954)を思わせ、映画史的な興味も呼び起こす。一見するとCGで作られたような画面が、実は手描きによるものであることにも驚かされよう。