都市の祝祭/Arts and Cities
あいちトリエンナーレ2010は、日本における最大級の国際展として、地域の方々の、また国内外からの熱い期待を担いつつ、開催に向けて本格的な準備が始まりました。このトリエンナーレを愛知・名古屋の文化のシンボルとして多くの市民に親しまれ、海外への芸術の発信基地としても注目されるユニークな特色をもったものにするために、私たちは次のような三つの基本方針を掲げています。
第一の方針は美術を中心とした現代芸術の先端的な動向を、国際的な視野によって紹介することにあります。芸術の世界でいま何が起きているかに焦点を当てること、私たちの同時代のアーティストたちの活動の生き生きとした息吹きを伝えることは、今回を皮切りに定期的に開催されることになるこのトリエンナーレの基本的な使命といえるでしょう。新たな芸術の動向がここに集約され、またここから国内外に発信されていくことは、愛知の文化芸術の活性化にも大きな役割を果たすに違いありません。
第二の方針は都市の祝祭としての高揚感を演出することにあります。美術館や劇場のみならず、野外の広場や公園など、まち中へも進出して行く壮大なプロジェクトは、大都会の中に非日常的な魅力に満ちた光景を出現させることでしょう。優れた芸術を鑑賞する機会であると同時に、市民同士の、また市民とアーティストの間での作品を前にした新鮮なコミュニケーションの場ともなることが、このトリエンナーレには期待されているのです。
三つ目は現代美術を基軸にしつつ、オペラやダンス、音楽などのパフォーミング・アートをも積極的に取り込むという、従来の国際展には見られなかった新機軸を打ち出していることです。それも多様な分野の作品を別々に展示・上演するのではなく、むしろ可能な限り相互的な関係を重視し、ジャンルの垣根を越えた積極的な交流が起きるような機会となることをも私たちは目指しているのです。
あいちトリエンナーレ2010はこうした基本方針に基づいて開催されます。大いなる都市の祝祭を実現させるために、私たちは是非とも市民の方々と肩を組んで準備を進めていかなければならないと考えています。皆さまのご理解とご協力を心からお願いする次第です。
平成20年10月 建畠 晢