地球の反対側からみる愛知
-ブラジル人アーティストたち
国際展キュレーターのひとりでブラジル人のダニエラ・カストロが紹介する4名のブラジル人アーティストは、すでに全員が作品制作のリサーチのために来日しました。
写真家のマウロ・レスティフェは2週間にわたり県内を精力的に移動し撮影。フィルムカメラで愛知の姿を捉えます。リビジウンガ・カルドーゾは、日本で見たあらゆるもの・ことを脳内で変換し、宇宙とアマゾンと愛知をつなぐ(かもしれない)壮大な計画が進行中です。また、ひもを結び合わせるというシンプルな行為そのものが作品となる「NET Project」を行ってきたジョアン・モデ。今回は、県内の美大生たちの協力のもと、誰もが参加できるこのプロジェクトを複数の場所で展開します。作品を通じて人間・動物・ものの関係を問うラウラ・リマは、豊橋の水上ビルに注目。その特徴的な空間をいかして、小鳥たちのための場所を作ろうと構想中です。
日本から最も離れた国であると同時に、歴史的にも日本と深い関係をもつブラジル。いずれも初めて日本で発表するブラジル人アーティストたちの目に、愛知はどう映ったのでしょうか?
デザイン、文化人類学、文学、味覚
・・・従来のアートの枠を超える取り組み
ディアンドデパートメントプロジェクトは、現地でワークショップを行い、デザインの視点から独自の方法によって地域の魅力を発掘、紹介するガイドブックを発表するほか、愛知県を題材にした新作落語を公演します。
文化人類学の観点から映像を制作するハーバード大学感覚民族誌学ラボは、圧倒的な映像美と音響で、漁を行う人々、魚やカモメ、海の様子を鮮烈に活写した映画『リヴァイアサン』を映像インスタレーションとして展示。詩人や翻訳家として活動し、「文学」と「味」を結びつけるプロジェクトを発表してきた関口涼子なども参加し、今回のトリエンナーレでは、従来のアートの枠の拡大を試みます。
また、パフォーミングアーツでも、フラメンコの革命児と称されるイスラエル・ガルバン、能と現代音楽を融合させた舞台を創る青木涼子が参加。山田うんは愛知県奥三河地方で数百年間継承されてきた神事の花祭をべースに、コンテンポラリーダンスを創作します。
カンパニーDCA/フィリップ・ドゥクフレ『コンタクト』
イリュージョンもアクロバットもダンスもドラマも音楽も!全部一度に楽しみたいよくばりな人にぴったりの華やかなステージがフランスからやってきます。追求の旅を描くゲーテの戯曲『ファウスト』に着想を得たこの作品は、幅広い人気を博すサーカス「シルク・ドゥ・ソレイユ」、パリのナイトクラブ「クレイジーホース」のショーも手がけたフィリップ・ドゥクフレが演出。日本初演、大人の極上エンターテイメントに名古屋で出会おう!
プロデュースオペラ『魔笛』
タミーノ、パミーナ、パパゲーノ、パパゲーナ、と登場人物の名前が並ぶだけでもずいぶん愉快で魅力的なこのオペラですが、生と死という人間にとっての永遠のテーマが隠されているのも理由なのでしょうか、長きにわたり愛されています。あいちトリエンナーレは開始以来3度ともオペラに取り組んでいますが、今回の演出家にもご注目ください。世界的ダンサーとして、また美術・照明などを自ら手掛ける独創的なセンスにより世界的に高く評価されている勅使川原三郎が、タミーノたちの“旅”の物語を演出します。