2019年10月17日 お知らせ

閉幕にあたっての津田大介芸術監督からのメッセージ

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8月1日に始まった「あいちトリエンナーレ2019」は、10月14日をもって閉幕しました。来場者の皆様方、参加アーティスト、キュレトリアルチーム、愛知県職員、豊田市職員、会場スタッフ、ボランティア、四間道・円頓寺商店街・円頓寺本町商店街の方々、協賛企業ほか、すべての関係者とあいちトリエンナーレ実行委員会大村会長に厚く御礼申し上げます。
今回のトリエンナーレは、開始前日の7月31日から国際現代美術展の一企画「表現の不自由展・その後」の内容を巡って愛知県とトリエンナーレ事務局に苛烈な抗議や脅迫が相次ぎ、開始からわずか3日で同企画を中止せざるを得ない事態に追い込まれました。その後、同企画の展示再開を求める参加アーティストたちが抗議の展示中断や内容変更、ステートメントの掲示などを行い――自ら望んだわけではありませんが――会期が進むにつれて展示内容が目まぐるしく変化する希有な芸術祭になりました。
展示が目まぐるしく変わるなか、水面下では「表現の不自由展・その後」の展示再開に向け、関係者間の困難な調整が続きました。幾多の困難を乗り越え10月8日には同企画が再開し、それまで展示中断・変更をしていたアーティストたちの展示もすべて復活しました。再開に向けてご尽力いただいたすべての関係者に最大限の感謝を捧げます。
今回関わってくれた参加作家や愛知県の方々に今後は恩返しをしなければいけないと思っています。会期中は日々想像を絶する大変なことが多々ありましたが、展示された美術作品やパフォーミングアーツ、映像プログラム、音楽プログラムたちが折れそうになった心を支えてくれました。
「あいちトリエンナーレ2019」は終わっても、「情の時代」はしばらく続きそうな気配です。「情報」によって「感情」が煽られた人々が起こす分断に、どのように「情(なさけ)」や芸術の力で向き合っていけばいいのか――次回のあいちトリエンナーレでその答えの一端を見てみたいと思っています。
長い長い75日間が終わりました。ご来場いただいた皆様とすべての関係者に改めてお礼を申し上げます。
ありがとうございました。

あいちトリエンナーレ2019芸術監督 津田大介