革命は抽象である

  • あいちトリエンナーレ2019の展示風景
    《革命は抽象である》2019
    Photo: Takeshi Hirabayashi

巨大な2つの彫刻作品と、壁にかけられた複数のコンクリート絵画によるインスタレーションです。手前の床に設置された彫刻と、奥の天井から突き出ている巨大な手の彫刻は、実際にロシアに存在するモニュメントの実物大のレプリカです。
ガラス面に貼られた解説から読み解くと、そのモニュメントの巨大さに驚かされます。 反対側の壁面には、ロシア・アバンギャルドの作家たちが制作したソ連時代の プロパガンダ・ポスターから、スローガンとイメージを取り去った絵画が並んでいます。
これらの作品は、歴史の中で生まれたモニュメントや図像を背景として、綿密なリサーチに基づき制作されています。革命によって成立した国家による、自国の 国威発揚のための巨大モニュメントの建造や、プロパガンダの効果的な手段として表現の力を用いてきた事実を、象徴的に示しています。そして「革命は抽象である」というこの名前には、人々が革命の初期において目指していたユートピアはもはや具体性を失い、抽象的なものになってしまったというアイロニーが込められているのです。

レニエール・レイバ・ノボ

  • 1983年ハバナ(キューバ)生まれ
  • ハバナ(キューバ)拠点


変わりつつあるキューバで忘れられかけている歴史や人々について、公的な資料などを精査したうえで、写真や映像、インスタレーションを制作。例えば《El peso de la muerte》は、銃弾を溶かして分銅に変えることで、ミニマルかつコンセプチュアルに命の重みを問う。また写真アーカイヴから毛沢東やフィデル・カストロら権力者の姿を消し去る《A Happy Day FC》は、神話や歴史を解体し、過去の出来事に対する想像力を喚起する。イデオロギーや権力に鋭いまなざしを向ける彼の作品は、過去の暴力や歴史と私たちをエレガントな手法で対峙させる。

主な作品発表・受賞歴

2018 「近くへの遠回り-日本・キューバ現代美術展」帰国展、スパイラルガーデン、東京
2018 「近くへの遠回り-日本・キューバ現代美術展」ウィフレド・ラム現代美術センター、ハバナ(キューバ)
2017 第57回ヴェネツィア・ビエンナーレ、キューバ館、ヴェネツィア(イタリア)
2015 第12回ハバナ・ビエンナーレ、ハバナ(キューバ)
2012 第11回ハバナ・ビエンナーレ、ハバナ(キューバ)
2010 リヴァプール・ビエンナーレ、リヴァプール(英国)

地図

豊田市美術館

所在地

〒471-0034
愛知県豊田市小坂本町8丁目5−1

開館時間

10:00-17:30
入館は閉館の30分前まで

休館日

月曜日(祝休日は除く)

バリアフリー

車椅子の無料貸し出しをしています。ご利用の方は1階の総合インフォメーションまでお申し付けください。(各会場のバリアフリー対応状況は【こちら】

アクセス

・名鉄「豊田市」駅または愛知環状鉄道「新豊田」駅下車 徒歩15分
・名鉄バス「美術館北」下車 徒歩10分
・東名高速道路豊田ICより約15分
・東海環状自動車道松平ICより約15分
・東名高速道路豊田東ICより約20分

問い合わせ

052-971-6111