NIMBY (Not in My Back Yard)

  • あいちトリエンナーレ2019の展示風景
    《NIMBY (Not in My Back Yard)》2019
    Photo: Takeshi Hirabayashi

黒いテープが貼り付けられた金屏風の前には、望遠鏡のような映像鑑賞装置があります。壁面には沖縄での米軍基地移設の県民投票に関する新聞記事が掲示されています。
コインを投入すると、基地移設反対のデモの映像が1分間上映されます。 全方位カメラで記録された映像は、現場で起きている事実を、作者の切り取ったアングルではなく、鑑賞者の選んだアングルで視聴することが可能になっています。 この作品は今年の4月、キューバの「ハバナビエンナーレ」に出品されました。 ハバナから望遠鏡をのぞくと、はるか彼方の沖縄で起きていることが見えます。そこでは「地理的な」距離感が揺らぐことが意図されています。今回、豊田市美術館から見える沖縄は、どのような距離感で見えるでしょうか?

高嶺格

  • 1968年鹿児島県生まれ
  • 秋田県拠点


社会のなかで見えなくなっている問題を、自身の個人的体験や身体的感覚に引きつけて、映像・インスタレーション・舞台等様々な媒体で浮かび上がらせるアーティスト。例えば、恋人との関係を出発点に朝鮮人強制労働の痕跡を遺すマンガン坑道跡で制作した《在日の恋人》や、近所の海岸に漂着した移民船を題材にした《歓迎されざる者》には、他者の理解という言葉では片付けられない、作家自身のもどかしさや痛みが伴っている。彼の作品は、ある種の居心地の悪い状態に観客を置き、その帰属意識を鋭く問うてくる一方で、そこに不恰好な身体を介して、それでも他者を希求する愚かで温かい人間らしさが見え隠れする。

主な作品発表・受賞歴

2012 個展「高嶺格のクールジャパン」水戸芸術館現代美術ギャラリー、茨城
2011 個展「高嶺格:とおくてよくみえない」アイコン・ギャラリー、ロンドン(英国)その他会場
2010 あいちトリエンナーレ2010「都市の祝祭」、愛知
2003 「Z.O.U.-Zone of Urgency」第50回ヴェネツィア・ビエンナーレ「Dreams and Conflicts」、ヴェネツィア(イタリア)
2003 個展「在日の恋人」NPO丹波マンガン記念館内坑道跡、京都

地図

豊田市美術館

所在地

〒471-0034
愛知県豊田市小坂本町8丁目5−1

開館時間

10:00-17:30
入館は閉館の30分前まで

休館日

月曜日(祝休日は除く)

バリアフリー

車椅子の無料貸し出しをしています。ご利用の方は1階の総合インフォメーションまでお申し付けください。(各会場のバリアフリー対応状況は【こちら】

アクセス

・名鉄「豊田市」駅または愛知環状鉄道「新豊田」駅下車 徒歩15分
・名鉄バス「美術館北」下車 徒歩10分
・東名高速道路豊田ICより約15分
・東海環状自動車道松平ICより約15分
・東名高速道路豊田東ICより約20分

問い合わせ

052-971-6111