アセンション・マーク I

  • あいちトリエンナーレ2019の展示風景
    《アセンション・マーク I 》2017
    Photo: Takeshi Hirabayashi

鮮やかな水色のペイントが施され、一部丸められたままのカーペットが敷かれた展示空間は、どこかの室内のようです。女性の顔はアイロン、男性の顔は電気シェーバーでできており、その異形の相貌は見る人にグロテスクなおかしみを伝えます。日々使用している家庭用電化製品の顔をした人間は、現代家庭に潜む不気味さを顕にします。あるいは溶けて変容する人体は、未来からやってきた、または地球外からやってきた新たな人類なのかもしれません。
フラチョヴァーは、技術の進化が社会や生態系に変化をもたらす、ユートピアともディストピアともつかない世界を描き出します。作家はこれまでも、出身国であるチェコの伝統や、古代神話、東洋思想、SFの物語といった多様なインスピレーションを組み合わせ、独特な世界観を持つ作品を制作してきています。

アンナ・フラチョヴァー

  • 1984年スシツェ(チェコスロバキア[現チェコ])生まれ
  • プラハ(チェコ)拠点
  • Photo: Jiří Thýn


古代神話や東洋思想、チェコの伝統文化や美術に、SF的想像力を織り交ぜた表現を展開する。彼女の彫刻は、生き物から家庭用電化製品まで、有機物と無機物が異種混交した、地球外の創造物のように見える。それは、健康で美しい身体が理想的な社会を象徴した社会主義時代の芸術を参照しつつ、技術の進化が社会や生態系の急激な変化をもたらす未来を予見しているかのようだ。セメントやアルミニウムなどの工業用素材と、ミツバチの巣や草花などの天然素材を掛け合わせた彫像は、有機/無機、歴史的/未来的、残酷/自愛の間で、ユートピアともディストピアともとれる世界を描き出している。

主な作品発表・受賞歴

2018 個展「Open Space #3 Anna Hulačová」フォンダシオン ルイ・ヴィトン、パリ(フランス)
2018 バルトトリエンナーレ13 「Give up the Ghost」コンテンポラリー・アート・センター、ビリニュス(リトアニア)
2018 「Another Banana Day for the Perfect Fish」パレ・ド・トーキョー、パリ(フランス)

地図

豊田市美術館

所在地

〒471-0034
愛知県豊田市小坂本町8丁目5−1

開館時間

10:00-17:30
入館は閉館の30分前まで

休館日

月曜日(祝休日は除く)

バリアフリー

車椅子の無料貸し出しをしています。ご利用の方は1階の総合インフォメーションまでお申し付けください。(各会場のバリアフリー対応状況は【こちら】

アクセス

・名鉄「豊田市」駅または愛知環状鉄道「新豊田」駅下車 徒歩15分
・名鉄バス「美術館北」下車 徒歩10分
・東名高速道路豊田ICより約15分
・東海環状自動車道松平ICより約15分
・東名高速道路豊田東ICより約20分

問い合わせ

052-971-6111