「輝けるこども」

  • あいちトリエンナーレ2019の展示風景
    「輝けるこども」2019
    Photo: Takeshi Hirabayashi
S10

展示空間の中は仮設壁で空間が区切られ動線が作られ、合計で180点を超える絵画が展示されています。入ってすぐの空間に掲げられた大きなクレーン車の絵にはじまり、子どもや自動車といったモチーフが繰り返し描かれ、多くのテキストがちりばめられています。一つ一つの作品が独立しているというよりも、全体で一つのテーマを取り上げているインスタレーションです。絵画を中心としながらも時間軸を持った表現となっています。最後の空間には、車に乗る子供の絵があり、車の周りには色とりどりの鳥と、鶴が一羽描かれています。
本作は、実際に起きた自動車事故を題材にしています。てんかんを患っている男性が発作を起こして事故が発生し、6名の小学生が亡くなりました。この事故をきっかけに、自動車運転死傷行為処罰法が施行されるなど、社会的な影響もありました。作家は、調査に基づいて交通事故の「被害者」だけでなく「加害者」にも触れ、そして、日常的に使用される自動車の持つ暴力性に言及しています。
連続する複数の絵画を建物内に構成・設置することよって、調査に基づく実際の事故をドキュメントしていくこのインスタレーションは、表現として独特の技法と言えます。作家が学んできた映像表現の影響も指摘できますが、カメラによる撮影や編集とは異なる、絵を描くという行為のなかに、祈りに似た鎮魂の念が宿ることを、この作品から読み解くことも可能です。

弓指寛治

  • 1986年三重県生まれ
  • 東京都拠点
  • Photo: Kazuya Ozawa


「自死」や「慰霊」をテーマに創作を続ける画家。大学院修了後、学生時代の友人と名古屋で映像制作会社を起業。2013年に代表取締役を辞任し上京、作家活動を開始した。ゲンロンカオス*ラウンジ新芸術校の第一期生として学んでいた2015年に、交通事故後で心身のバランスを崩していた母親が自死。出棺前に「金環を持った鳥のモチーフ」が浮かび、以後制作される多くの作品で繰り返し登場する彼の表現の核となっている。2018年には、約30年前に自死したアイドルをテーマにした《Oの慰霊》が第21回岡本太郎現代芸術賞で敏子賞を受ける。同年に同作の続編的な位置付けの展覧会「四月の人魚」が開催され大きく話題を集めた。

主な作品発表・受賞歴

2019 個展「ダイナマイト・トラベラー」シープスタジオ、東京
2019 個展「太郎は戦場へ行った」岡本太郎記念館、東京
2018 個展「四月の人魚」ゲンロン カオス*ラウンジ 五反田アトリエ、東京
2018 「第21回岡本太郎現代芸術賞展」川崎市岡本太郎美術館、神奈川、岡本敏子賞受賞
2016 ゲンロン カオス*ラウンジ 新芸術校第1期成果展「先制第一撃」東京、金賞受賞

地図

メゾンなごの808

所在地

〒451-0042
愛知県名古屋市西区那古野2丁目8-11
(円頓寺本町商店街内)

開館時間

12:00-20:00(金曜は21:00まで)
入館は閉館の15分前まで

休館日

月曜日(祝休日は除く)

バリアフリー

各会場のバリアフリー対応状況は【こちら】

アクセス

・地下鉄桜通線・鶴舞線「丸の内」駅下車 徒歩12分
・地下鉄桜通線「国際センター」駅下車 徒歩7分
・名古屋駅より徒歩10分

問い合わせ

052-971-6111