あなたは、その後彼らに会いに向こうに行っていたでしょう。
- あいちトリエンナーレ2019の展示風景
《あなたは、その後彼らに会いに向こうに行っていたでしょう。》2019
Photo: Takeshi Hirabayashi
《あなたは、その後彼らに会いに向こうに行っていたでしょう。》は、江戸時代に建てられた伊藤家住宅内の二間続く座敷に展示されています。空間内には、スクリーン、両面鏡、空枠があり、庭にはカメラが設置されています。
空間を移動しながら作品を鑑賞することで、視覚的な仕掛けに気がつきます。鏡の向こうの空間と手前の空間との境界が曖昧になり、どちらを見ているのか混乱します。スクリーンには、リアルタイムの映像と、事前に録画されたパフォーマーの映像が組み合わされています。
《スコア a》《スコア b》は、床の間の掛け軸に、映像に映ったパフォーマーの動きが描き起こされたスコアが2枚、天地反転して重ねられた状態で掛けられています。
土間で聴く《オーディオガイド:内と外》は、2人のパフォーマーの耳に1個ずつマイクを仕込んだ状態で、2人が離れたり入れ替わったりしながら録音された環境音 です。展示では、その音をヘッドフォンで再生し、ひとりで聴きます。通常ひとりの人間で聞くことのできないような音環境を聴くことができます。
空間の特徴と対峙し、その空間の中で鑑賞者の視点が移動していくことを前提としたインスタレーションは、作家がこの10年間変わらず取り組んできているテーマです。「不意に見える自分の後ろ姿にハッとする」と語る作家は、メディアを通じて現れる新しい現実感を提示しています。
津田道子
- 1980年神奈川県出まれ
- 神奈川県拠点
東京芸術大学大学院映像研究科で博士号を取得。鏡とフレームと映像装置を配置したインスタレーション作品や、パフォーマーとの共同作業による作品を制作する。鑑賞者は、カメラとの存在を主軸にして構成された空間のなかを自由に歩きまわり、その視点が変化することによって、実像と虚像、見ることと見られること、鑑賞者とパフォーマーの境界があいまいになる。映像メディアの特性と、鑑賞者には操作することができないカメラの視線にもとづいた、シンプルでありながら緻密に計算された作品は、「見る」という行為そのものと、私たちが無意識の内に当たり前ととらえている認知や身体感覚を問うている。
主な作品発表・受賞歴
2019 | 「六本木クロッシング2019展:つないでみる」森美術館、東京 |
2017 | 個展「Observing Forest」ザーリャ現代美術センター、ウラジオストク(ロシア) |
2017 | 第20回文化庁メディア芸術祭、東京、アート部門新人賞受賞 |
2016 | 「オープン・スペース2016 メディア・コンシャス」NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]、東京 |
2015 | 個展「The Day After Yesterday」TARO NASU、東京 |
地図
伊藤家住宅
所在地
愛知県名古屋市西区那古野1丁目36−12
開館時間
入館は閉館の15分前まで
休館日
バリアフリー
アクセス
・地下鉄桜通線「国際センター」駅下車 徒歩9分
・名古屋駅より徒歩15分