Portrait of a woman passing by
- あいちトリエンナーレ2019の展示風景
Photo: Ito Tetsuo
一列に並べられた7つの作品からなるインスタレーションです。それぞれのオブジェは特殊な素材というよりも、日常で見かけるような素材で作られています。しかし、普段見かける様子とは少し異なったかたちで展示されています。
たとえば、三つ編みにされた長い髪の毛は、天井から吊られバケツのなかで自動的に洗髪されいますし、軽石には唇の彫刻が施されています。また、溶け合って いるように見える金属は、アメリカとメキシコの銅貨です。微妙な関係にある両国の価値体系を象徴するコインは、物理的に溶け合い交じり合った状態です。これらはオブジェとしての美を追求するというよりも、意味内容での掛け合わせや問いを鑑賞者に投げかけます。
大理石の円柱の上には水盤が形成され、中にはカラーコンタクトレンズが片方だけ密やかに配されています。もしかしたら同色のコンタクトをした人物が会場内にいるかもしれません。また、中央付近に置かれた花瓶と同じ図柄のワンピースを着た女性が会場内に現れるかもしれません。この作品にはこうしたささやかなパフォーマンスの要素も埋め込まれています。
タニア・ペレス・コルドヴァ
- 1979年メキシコシティ(メキシコ)生まれ
- メキシコシティ(メキシコ)拠点
ありふれた素材を、概念的な彫刻に変える作品で知られる。彼女は「ものが持つ物質性」と「ものに宿る個別の物語」という、一見矛盾する二つの要素に焦点を当てている。彼女が作り出すオブジェは、基本的にはその素材やモチーフが元来持つ具体的な形式や概念に忠実である。しかしそこに個人的な物語や架空の会話の断片、あるいは気分や雰囲気を感じるものが意図的に挟み込まれることで、観客は抽象的な状況を読み解かざるを得なくなり、さながらパフォーマンスの様相を呈す。制作と並行し、執筆家/美術家のフランシスコ・ぺドラグリオとともに、ロンドンとメキシコシティを拠点とする出版プロジェクト「Juan de la Cosa/John」を運営する。
主な作品発表・受賞歴
2018 | 個展「Daylength of a Room」クンストハレ・バーゼル、バーゼル(スイス) |
2017 | 個展「Smoke, nearby」シカゴ現代美術館、シカゴ(米国) |
2017 | 「Ayrton」ルフィーノ・タマヨ美術館、メキシコシティ(メキシコ) |
2016 | 第11回光州ビエンナーレ「The Eighth Climate (What Does Art Do?)」光州(韓国) |
2015 | 第3回ニュー・ミュージアム・トリエンナーレ「Surround Audience」ニュー・ミュージアム、ニューヨーク(米国) |
地図
名古屋市美術館
所在地
愛知県名古屋市中区栄2丁目17−25
芸術と科学の杜・白川公園内
開館時間
入館は閉館の30分前まで
休館日
バリアフリー
アクセス
・地下鉄鶴舞線「大須観音」駅下車 徒歩7分
・地下鉄名城線「矢場町」駅下車 徒歩10分