The Clothesline
- あいちトリエンナーレ2019の展示風景
《The Clothesline》2019
Photo: Ito Tetsuo
「女性として差別されていると感じたことはありますか? それはどのようなものですか?」
「あなたや、あなたの身近でセクハラ・性暴力がありましたか? それはどのようなものでしたか?」
「セクハラ・性暴力を無くすために何をしましたか? これから、何をしますか?」
「これまでに受けたセクハラ・性暴力に対して本当はどうしたかったですか?」
「あいちトリエンナーレ2019」に先駆けて、今年6月に開催されたワークショップ で制作された上記のような4つの問いかけに寄せられた回答が、洗濯ばさみで 留められています。鮮やかなピンク色が目を引くこちらの展示では、様々な人が匿名で記したコメントを読むことができます。また、テーブルの上に用意されたカードの質問に、来場者は誰でも回答し、ロープに足していくことができます。
この作品では、世の中に埋もれていく「声無き声」を拾い上げて示しています。罪に問えなくとも、日常生活の中で起こる性別に関する嫌がらせや暴力が、 少なくはないことを可視化しています。
このプロジェクトは、1978年より40年以上にわたり世界各地で続けられて きたものです。作家は、見えにくく、語られにくい性にまつわる差別や抑圧、 暴力について、決してなかったことにはしません。作品を通じて私たちに 考えたり対話したりすることを促します。
モニカ・メイヤー
- 1954年メキシコシティ(メキシコ)生まれ
- メキシコシティ(メキシコ)拠点
メキシコのフェミニスト・アートのパイオニア的存在で、ジェンダー間の不均衡を可視化する作品を数多く制作している。彼女が1978年に始めた《The Clothesline》という参加型プロジェクトでは、ピンク色の紙に、参加者が日常生活で感じる抑圧やハラスメントなどを匿名で書いてもらったものを展示する。なかなか声を上げることができない人々が、その思いを告白するのに安全な環境を提供するとともに、社会構造から生じるダブル・スタンダードについて観客に気づきをもたらし、そこから対話や連帯が始まるきっかけを作り出している。
主な作品発表・受賞歴
2017 | 個展「The Clothesline Project」National Museum of Women in the Arts、ワシントン D.C.(米国) |
2017 | 「Radical Women: Latin American Art, 1960–1985」ハマー美術館、ロサンゼルス(米国) |
2016 | 個展「When in Doubt... Ask: A Retrocollective Exhibit of Mónica Mayer」Museo Universitario Arte Contemporáneo [MUAC]、メキシコシティ(メキシコ) |
2007 | 「WACK! Art and the Feminist Revolution」ロサンゼルス現代美術館、ロサンゼルス(米国) |
2002 | 第7回日本国際パフォーマンス・アート・フェスティバル、東京 |
地図
名古屋市美術館
所在地
愛知県名古屋市中区栄2丁目17−25
芸術と科学の杜・白川公園内
開館時間
入館は閉館の30分前まで
休館日
バリアフリー
アクセス
・地下鉄鶴舞線「大須観音」駅下車 徒歩7分
・地下鉄名城線「矢場町」駅下車 徒歩10分