生き残る

  • あいちトリエンナーレ2019の展示風景
    《生き残る》2019
    Photo: Ito Tetsuo
N02

巨大な平面作品および、回転するプロペラに映像が映し出されるファンライトなどいくつかのオブジェクトが組み合わされたインスタレーションには、今や絶滅の 危機に瀕するオランウータンや、コモドドラゴン、かつてインドネシアに生息し絶滅した鳥レプトプティロス・ロブストゥスなど様々な動物が登場しています。動物以外にも銃を構えた人間やココナッツ爆弾、何かが炎上する様子なども描かれています。
作家は、インドネシアに限らず外来種の侵入によって生物が絶滅を繰り返してきた歴史と、人類の侵略戦争など人為的な原因によって引き起こされる破壊に着目しています。パソコン上で絵を加工する画像編集ソフトや立体設計を行うCADソフトを用いて下絵を制作し、これをもとに油絵の具でペインティングを 描いたり、映像を作ったりと複数の要素に展開しています。このインスタレーションは、その構成自体が複層的な構造を持ち、展示室を出た後も2階の手すり越しに作品を上から眺められるようなしつらえになっています。
現在、東南アジアにおいては、グローバル企業による森林の破壊が社会課題となっています。日常私たちが使っている植物性油脂を用いた洗剤や石鹸も、もしかしたらジャングルを伐り開いて生産されるパームヤシと無関係ではないかもしれません。

今津景

  • 1980年山口県生まれ
  • バンドン(インドネシア)拠点


多摩美術大学大学院美術研究科修了。古典的な名画やSNSで公開された写真など、無数のメディアから採取したデータをPhotoshopで引き伸ばし、重ね合わせた下図をもとにキャンバスに油彩で描く。歪められ緻密に絡み合ったイメージからは、彼女が長い時間をかけ「絵画そのもの」について思考と格闘を繰り返してきた痕跡が感じられる。彼女は、あらゆる物事が描かれてきた美術史を踏まえた上で、新しい絵画を描く方法やその意義について考察してきた。現代的なテクノロジーと伝統的なメディウムの混合技法によって作られた作品は、今ある社会の問題とモチーフの主題を、一つの世界観に完結する。

主な作品発表・受賞歴

2019 「六本木クロッシング2019展:つないでみる」森美術館、東京
2018 個展「Measuring Invisible Distance」山本現代、東京
2018 「21世紀の美術 タグチ・アートコレクション展 アンディ・ウォーホルから奈良美智まで」平塚市美術館、神奈川
2017 「In Focus: Contemporary Japan」ミネアポリス美術館、ミネアポリス(米国)

地図

名古屋市美術館

所在地

〒460-0008
愛知県名古屋市中区栄2丁目17−25
芸術と科学の杜・白川公園内

開館時間

9:30-17:00(金曜は20:00まで)
入館は閉館の30分前まで

休館日

月曜日(祝休日は除く)、9/17(火)

バリアフリー

車椅子の無料貸し出しをしています。ご利用の方はインフォメーションまでお申し付けください。(各会場のバリアフリー対応状況は【こちら】

アクセス

・地下鉄東山線・鶴舞線「伏見」駅下車 徒歩8分
・地下鉄鶴舞線「大須観音」駅下車 徒歩7分
・地下鉄名城線「矢場町」駅下車 徒歩10分

問い合わせ

052-971-6111