『ウロボロス』
Ouroboros Film Still, 2017, Courtesy of the Artist and Galerie Imane Farés.
ウロボロスは、尾を飲み込み環の形となった蛇で、死と復活を象徴する。パレスチナのガザ地区から始まる本作で、男は、アメリカのLAとモハーヴェ砂漠、イタリアの古都マテーラとマルティナ・フランカ、フランスのブルターニュにそびえる13世紀の城を渡り歩く。男が繰り返す出会いと別れ、忘却のサイクルは、ガザにおける破壊と再生の歴史に重なる。進む時間と後戻りする時間、爆撃され荒廃する土地と何世紀にもわたって維持された街並みが対比される。ガザを巡る膨大な情報や、わかりやすい言説に抵抗を示す彼女は、一つの観点からは判断できない、不合理に思えるような歴史を、知識としてではなく臓器で感受する経験として、観客に提供する。
バスマ・アルシャリフ
- 1983年クウェート(クウェート)生まれ
- ノマディックに活動
パレスチナ人の両親のもと、クウェートで生まれる。幼い頃にフランスに移住したのち、8年後に市民権を否定されアメリカへ渡る。母方を頼って何度も訪れたパレスチナのガザ地区を故郷のように感じる一方で、いずれの国のアイデンティティーも強く持たずに育つ。2007年イリノイ大学シカゴ校で美術学修士号取得。過去にはシカゴ、ベイルート、アンマン、シャルジャ、ガザ、パリ、東京などで暮らし、創作活動に取り組んできた。現在はカイロに滞在している。記録とテキストのモンタージュ、独特な音楽の取り入れ方や、場所や時間を明言しない黙示録的なドキュメンタリーが特徴とされる。
主な作品発表・受賞歴
2019 | パウロ・クーニャ・エ・シルバ芸術賞ノミネート、ポルト(ポルトガル) |
2018 | the Abraaj Group芸術賞選抜候補、ドバイ(UAE) |
2016 | 『ウロボロス』FIDマルセイユ パナヴィジョン/エール・フランス賞受賞、コミューン・イメージ賞受賞(フランス) |
2015 | 『牛乳と蜂蜜の物語』LOOPフェア賞、バルセロナ(スペイン) |
2014 | 『深い眠り』VIDEOEX実験映画祭国際コンペティション優勝、チューリッヒ(スイス) |
2012 | 『私たちは距離を測ることから始めた』アセンズ国際映画祭 実験映画部門3位、オハイオ州(アメリカ) |
2012 | 『眼に見える範囲よりさらに遠く』アラブ芸術文化基金ヴィジュアル・アーツ助成、アムステルダム(オランダ) |
作品情報
2017/77分/協力:東京都写真美術館/恵比寿映像祭
言語:英語、チヌーク語、イタリア語
字幕:英語、日本語
チケット情報
[あいちトリエンナーレ2019国際現代美術展チケットでご鑑賞いただけます]
各回15分前開場・入場整理番号順でのご入場/180席/全席自由/上映開始後入場不可
◉国際現代美術展「1DAYパス」「フリーパス」にてご入場いただけます。愛知芸術文化センター(12階)アートスペースA会場受付にてご提示ください。「1DAYパス」は当日のスタンプが押された日のみ有効。複数日にわたりご覧いただく場合は「フリーパス」が必要になります。
◉上映日ごとに、その日の最初の上映の30分前から愛知芸術文化センター12階受付にて全ての上映の入場整理券を配布いたします。満席の際はご入場いただけない場合があります。
地図
愛知芸術文化センター アートスペースA(12F)
所在地
愛知県名古屋市東区東桜1丁目13−2
愛知芸術文化センター 12階
バリアフリー
アクセス
・瀬戸線「栄町」駅下車 徒歩5分