ステージの幕
- 《Telón de Boca》 2018
Photo: Ramiro Chaves
Courtesy of Museo Universitario del Chopo
A35
吹き抜けに吊り下げられた巨大な幕は、音楽バンドのTシャツを縫い合わせて作られています。布の中には24個のスピーカーが設置され、イベントなどで利用するステージとしても機能します。
こうしたバンドTシャツは、遠い国で、時に過剰に生産され、世界中を流通してファンのもとに届けられます。
Tシャツは大量生産や市場経済などを象徴する一方で、音楽ファンのアイデンティティを示したり、ファン同士の交流アイテムとして用いられます。作家が初個展を行った美術館のほとりにある「チョポの露天市」では物々交換が盛んで、まさに数えきれないほどの大量のTシャツが、他の音楽やファッションのアイテムと共にやり取りされています。
展示に用いられたTシャツは、作家がデザイナーとオリジナル限定Tシャツを制作し、「チョポ」の伝統にならって、友人や通りがかりのアートファンたちの音楽バンドTシャツと、物々交換し手に入れたものです。
ピア・カミル
- 1980年メキシコシティ(メキシコ)生まれ
- メキシコシティ(メキシコ)拠点
布を用いた大型インスタレーション他、様々な表現を通じてメキシコの近代化や都市景観にまつわる作品を制作。近年の代表作《Telón de Boca》は、多様な音楽が交わるチョポの露天市で行われる物々交換から着想を得たもの。予めデザイナーと用意した中古Tシャツを、街ゆく人や友人のバンドTシャツと交換して集め、一枚に縫い合わせた巨大な幕の内側には、24台のスピーカーが内蔵されている。バンドTシャツは、文化的、社会的そして個人的な情報の伝達手段である一方、米国市場向けに過剰生産されたそれらが市場で買い叩かれていることは、世界経済と取引システムの別の側面を象徴的に仄めかす。本作は観衆が参加可能な「舞台」として、モニュメンタルな音響空間を創り出す。
主な作品発表・受賞歴
2018 | 個展「Telón de Boca」Museo Universitario del Chopo、メキシコシティ(メキシコ) |
2018 | 個展「Split Wall」ノッティンガム・コンテンポラリー、ノッティンガム(英国) |
2017 | 個展「Bara, Bara, Bara,」ダラス・コンテンポラリー、ダラス(米国) |
2015 | 個展「A Pot for A Latch」ニュー・ミュージアム、ニューヨーク(米国) |
2014 | 個展「The Little Dog Laughed」Blum & Poe、ロサンゼルス(米国) |
地図
愛知芸術文化センター(B2Fフォーラム)
所在地
〒461-0005
愛知県名古屋市東区東桜1丁目13−2
愛知芸術文化センター 地下2階
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