• 《美しいブルー》 13.5.17
    Photo: Daniel Martinek
    Courtesy of WAKO WORKS OF ART

水彩や油彩で描かれているこれらの絵画は、作家の出自や幼少期の記憶と深く関わりがあります。彼女の絵画にたたえられている美しさは、単に美しいものを美しく描いた、ということでは説明がつきません。幼い頃に見た原水爆実験のキノコ雲や、それらの兵器開発を主導したオッペンハイマー博士が、自身と同じユダヤ人である事実など、この作品が生まれた背景にはいくつかの文脈があります。また、日本での展示となれば、ユダヤ人を迫害したナチスドイツが、大戦のさなか日本と同盟国であったという史実などへ関心が向く人もいるでしょう。
《美しいブルー》と題された作品も、多くの難民が地中海を渡ってヨーロッパを目指している背景と関係があります。作家が関心を寄せる過去の複雑な歴史や事情と、鑑賞者の作品への解釈が絡み合ってこの作品の価値を生み出していると言えます。

ミリアム・カーン

  • 1949年バーゼル(スイス)生まれ
  • ブレガリア(スイス)拠点
  • Photo: kw


幼少期にビキニ環礁における原爆実験の映像を見た世代で、自らと同じユダヤ系の科学者が原爆開発と投下反対の両方の立場にいた歴史的背景から、原爆をめぐる「美」と「倫理」の葛藤を主題にした水彩シリーズを繰り返し描いていた。一方、油彩作品は、人物、動植物、建物などいくつかに枝分かれした主題を含み、各主題がそれぞれ探求されているが、とりわけ人物を主題とする画面のなかでは時折、薄暗いトーンの背景に鮮やかな色彩で描かれた人々がたたずむ。個の存在を浮かび上がらせるための明確な輪郭線を持たないカーンの絵画は、境界よりも融合を示唆するように見える一方、見るものに救いのない冷徹な世界の現実を突きつけるようでもあり、この時代の不確かさとともに、苦難な状況下での人間のあり方を問いかける。

主な作品発表・受賞歴

2018 第21回シドニー・ビエンナーレ「SUPERPOSITION: Art of Equilibrium and Engagement」、シドニー(オーストラリア)
2018 個展「photographs」ワコウ・ワークス・オブ・アート、東京
2017 ドクメンタ14「Learning from Athens」、アテネ(ギリシャ)、カッセル(ドイツ)
2016 個展「miriam cahn - AT EYE LEVEL」キール美術館、キール(ドイツ)
2015 個展「körperlich – corporel」アールガウ・クンストハウス、アーラウ(スイス)

地図

愛知県美術館ギャラリー(8F)

所在地

〒461-8525
愛知県名古屋市東区東桜1丁目13−2
愛知芸術文化センター 8階

開館時間

10:00-18:00(金曜は20:00まで)
入館は閉館の30分前まで

休館日

月曜日(祝休日は除く)

バリアフリー

車椅子の無料貸し出しをしています。ご利用の方はインフォメーションまでお申し付けください。(各会場のバリアフリー対応状況は【こちら】

アクセス

・東山線または名城線「栄」駅下車 徒歩5分
・瀬戸線「栄町」駅下車 徒歩5分

問い合わせ

052-971-6111