チャイルド・ソルジャー
- 《Child Soldier》 2017–2018
Courtesy of the artist
《チャイルド・ソルジャー》は、ライトボックスに入った9点のデジタル写真と、それらを含む静止画にサウンドをつけたスライドショーで構成した映像インスタレーションです。
森の中を進む少年は、水場に立ち寄ったり、ハーモニカを吹いたり、葉っぱを並べていたり、ギターを弾いたりしています。しかし、武器を担いでいたり、血を流したりしている様子、軍服や銃弾といった要素から、軍事的なテーマも窺えます。また、途中で流れてくるラジオや、少年が読み上げている教科書、そして終盤に流れる歌謡曲から、北朝鮮の問題を扱っていることも読み取ることができます。
作家は、これまでも南北朝鮮を巡る歴史を取り扱ってきました。この作品は、それぞれの国のメディア報道が、それぞれの国民の考えや意見を形成することや、世界各地で問題となっている少年兵の問題を想起させます。人を殺すための銃を携帯する北朝鮮の兵士が、まだあどけなさの残る少年兵であるというのが、この作品の肝です。この作品は、作家の母がかつて北朝鮮の少年兵を目撃したエピソードの中の「政府からの伝達やニュースで見聞きしていた怖い兵士像とは異なり、山の中で遊ぶ銃を持ったただの子供だった」という言葉から着想を得ています。
パク・チャンキョン
- 1965年ソウル(韓国)生まれ
- ソウル(韓国)拠点
南北朝鮮が抱える諸問題や、アジアの美術史・戦争史、地域で共有されてきた宗教的な遺産を哲学的に紐解く作品や映画を制作。また朝鮮戦争停戦後、初めて南北首脳会談が開かれた2000年からは、南北朝鮮の過去と未来を考察し数多くの作品や論考を制作・執筆してきた。2014年には、SeMAビエンナーレの芸術監督を務め、ゴースト、スパイ、老婆のメタファーを用いたディレクションでアジアの現状を視覚的に表し、高い評価を受ける。朝鮮半島、日本を含む東アジア全域と米国の関係、そして東西冷戦時代の負の遺産を思索の軸に置き、20世紀の様々な強迫観念によって地政学的に凝り固まった二つの朝鮮とその周辺の国々における価値観に対して、批評的かつ詩的な表現で疑問を投げかけている。
主な作品発表・受賞歴
2017 | 個展「안녕 安寧 Farewell」Kukje Gallery、ソウル(韓国) |
2017 | 「2 or 3 Tigers」世界文化の家、ベルリン(ドイツ) |
2015 | 個展「Pa-gyong: Last Sutra Recitation」Institute of International Visual Arts [Iniva]、ロンドン(英国) |
2013 | 「Homeworks 6」Artheum、ベイルート(レバノン) |
2011 | 第61回ベルリン国際映画祭、ベルリン(ドイツ)、短編部門金熊賞受賞 |
地図
愛知県美術館ギャラリー(8F)
所在地
愛知県名古屋市東区東桜1丁目13−2
愛知芸術文化センター 8階
開館時間
入館は閉館の30分前まで
休館日
バリアフリー
アクセス
・瀬戸線「栄町」駅下車 徒歩5分