日常演習

  • 《日常演習》 2018、「明日の楽園-袁廣鳴個展」TKG+、台北(台湾)
    Courtesy of the artist

《日常演習》という映像作品で、私たちは現実離れした風景を目の当たりにします。真昼の都市をドローンで捉えた映像には、人間が誰一人として映っていません。まるでCGで合成された非日常的な印象を与えるこの情景は、台湾で1978年より続く「萬安演習」という防空演習を捉えたものです。この演習は毎年春先に実施され、日中の30分間人々は屋内へ退避し、自動車やバイクなどの交通も制限されます。台湾の高齢者や外国人にとっては戦争の影を感じさせるものの、若者にとっては毎年の見慣れた行事になってしまい、年代や立場によって受け止め方が異なるようです。台北の最も賑やかな通りを含む5つの場所が無人となった風景は、一見安定した平和な街の日常に潜む戦争の脅威について私たちに考えさせます。
《トゥモローランド》も違った意味で緊張感をたたえた映像作品です。映像では、ユートピアの象徴のような遊園地が突然爆破されます。映像は継ぎ目のないループとなっており、まるで現実感の無い、夢のような印象を与えます。
両作品とも、メディア技術を用いて、虚構とも現実ともつかないイメージを示しています。グローバル化やテロ、戦争、移民、難民、自然災害、経済格差といった現代の世界状況に対する作家の意識を投影しているこれらの作品は、「日常と隣り合わせにある戦争」という、まさに現実世界の暗喩と捉えることができるでしょう。

袁廣鳴(ユェン・グァンミン)

  • 1965年台北(台湾)生まれ
  • 台北(台湾)拠点
  • Courtesy of TEDxTaipei


台湾におけるヴィデオ・インスタレーションの先駆的存在で、ドローンや自作の機器を使用して、白昼夢のような美しさのなかに現実の問題が見え隠れする映像作品を制作する。サイレンの鳴り響く無人の街をドローンで捉えた《日常演習》は、非日常的でありながらどこか現実的な手触りを観客に残す。それが、台湾で行われる軍事演習の際の街の様子だと知れば納得されるだろう。彼の映像は、時間と空間を交差させつつ身体感覚を揺さぶり、この世界に亀裂のように潜む不確実性や政治的な問題を明らかにする。

主な作品発表・受賞歴

2016 「記憶の円環|榮榮&映里と袁廣鳴の映像表現」水戸芸術館現代美術ギャラリー、茨城
2015 第13回リヨン・ビエンナーレ「La vie moderne (Modern Life)」リヨン(フランス)
2003 第50回ヴェネツィア・ビエンナーレ、台湾館、ヴェネツィア(イタリア)
2002 第4回光州ビエンナーレ「PAUSE」光州(韓国)

地図

愛知県美術館ギャラリー(8F)

所在地

〒461-8525
愛知県名古屋市東区東桜1丁目13−2
愛知芸術文化センター 8階

開館時間

10:00-18:00(金曜は20:00まで)
入館は閉館の30分前まで

休館日

月曜日(祝休日は除く)

バリアフリー

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アクセス

・東山線または名城線「栄」駅下車 徒歩5分
・瀬戸線「栄町」駅下車 徒歩5分

問い合わせ

052-971-6111