「その後を、想像する」
- 《その後を、想像する》 2019
大きなモニターには滑らかなアニメーションが上映されています。映像の中で 何かが起きるその瞬間にアニメーションは暗転し、次のアニメーションへと移り変わっていきます。展示室内には他にもテーブルの上に並べられた紙テープ、一列に並んだランプ、木板でできた絵本のような作品が展示されています。どの作品も最後の一つ、最後の一瞬は直接見ることができないものばかりです。
人間の脳は、それまでの経験から物事の先を読んで予測することができます。
逆に、生まれたばかりの赤ちゃんの脳は、様々な状況を繰り返し観察することで、徐々に未来を予測できる能力を獲得していきます。
この作品では、物事の状況が進んでいったその先が隠され提示されています。最後の瞬間は鑑賞者の脳内でしか再生されません。そしてその瞬間に描かれている「絵」は一人一人異なるかもしれません。未来に対する予測の結果がその 通りだった、または予想とは違っていた、この二つの状況の中で私たちの感情は揺れ動きます。
菅俊一
- 1980年東京都生まれ
- 東京都拠点
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。在学中より佐藤雅彦研究室で「ピタゴラスイッチ」などの番組に関わりながら、人間の知覚能力を適用した新しい表現について探求。乳幼児向け知育玩具メーカーで商品企画に携わったのち、現在多摩美術大学で教鞭を執る。「2355/ 0655」映像制作や、21_21 DESIGN SIGHTで行われる展覧会のコンセプト設計・ディレクションに関わるほか、行動経済学の面白さをマンガや実験的な構成で表現した『ヘンテコノミクス』、彼が自身に課すルーティンをまとめた『観察の練習』など著述でも高い評価を受ける。彼の作品の何の変哲もない線や図形やその配置に、私たちの視線や関心がたやすく誘導される体験は、その後の世界の見方を一変する。
主な作品発表・受賞歴
2019 | 第753回デザインギャラリー1953企画展「菅俊一展 正しくは、想像するしかない。」デザインギャラリー1953、東京 |
2017 | SOBO 28th Exhibition「指向性の原理」SOBO、東京 |
2015 | 「単位展-あれくらい それくらい どれくらい?」21_21 DESIGN SIGHT、東京 |
2012 | 「2355-ID」D&AD賞、TV & Cinema Communications/TV Promotions & Programme Junctions Yellow Pencil賞受賞 |
2011 | 「差分」Paul Smith SPACE GALLERY、東京 |
地図
愛知県美術館(10F)
所在地
愛知県名古屋市東区東桜1丁目13−2
愛知芸術文化センター 10階
開館時間
入館は閉館の30分前まで
休館日
バリアフリー
アクセス
・瀬戸線「栄町」駅下車 徒歩5分