「Function Composition」
「Semantic Segmentation」
Translation Zone
- 《ポストプロダクション》 2018
Courtesy of the artist
この展示室は、「Function Composition」「Semantic Segmentation」という写真のシリーズと「Translation Zone」という映像作品によって構成されています。
「Function Composition」シリーズの中央の作品は、一つの画面の中で実物の被写体と、それが印刷された写真との境界が溶け合い、どこまでが実物でどこからが写真なのかがわからなくなっています。これはコンピューターの画像処理によるものです。
「Semantic Segmentation」シリーズは、コンピューターによる物体認識の結果が示されています。画面の塗り分けとパーセンテージは、コンピューターが どの物体をどれくらいの確信を持って認識しているかを示しています。この シリーズは2枚で一組の作品です。それぞれを見比べることで、視点の位置や切り取る範囲が、コンピューターの認識にどのような変化をもたらしているかを見てとることができます。
映像作品「Translation Zone」では、日本で揃う材料を使って他の国の料理を作ったり、ある言葉を別の言語へと翻訳する難しさと、そこに生まれる創造性について語られます。そこでは、文化や言語が厳密に翻訳されず、翻訳が失敗し互いが混ざり合ってしまうような状態に、ある種の豊かさが見いだされています。
コンピューターなどのデジタルメディアや、言語・文化といった社会的背景は、私たちの考え方やものの見かたをどのように形作っているのか。コンピューターによる処理や認識のあいまいさや、文化や言語の混じり合いを示すこれらの作品は、思考や認識といったものがつねに変化の可能性へと開かれていることを表しています。
永田康祐
- 1990年愛知県生まれ
- 神奈川県拠点
高校まで愛知県で過ごし、東京藝術大学で建築を学ぶ。同大学院修了後、デジタルデザインに関する研究に従事しつつ、作品制作を行う。現在、同大学院映像研究科博士後期課程に在籍し、写真研究と作品制作を並行して行っている。デジタル写真の普及によって、画像の作成や加工を通じたコミュニケーションが容易に行えるようになった反面、その画像は写真を撮影するためのカメラや加工するためのソフトウェア、表示するためのデバイスといった装置によって規定されてもいる。こうしたデバイスやソフトウェアの機能を過度に用いたり、その存在自体に焦点を当てることで、メディアを通じた私たちの経験のあり方を問い直すような作品を制作している。
主な作品発表・受賞歴
2018 | 「オープン・スペース 2018 イン・トランジション」NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]、東京 |
2018 | 第10回恵比寿映像祭「インヴィジブル」東京都写真美術館、東京 |
2017 | 「Malformed Objects - 無数の異なる身体のためのブリコラージュ」山本現代、東京 |
2016 | 個展「Therapist」トーキョーワンダーサイト本郷、東京 |
地図
愛知県美術館(10F)
所在地
愛知県名古屋市東区東桜1丁目13−2
愛知芸術文化センター 10階
開館時間
入館は閉館の30分前まで
休館日
バリアフリー
アクセス
・瀬戸線「栄町」駅下車 徒歩5分