The Kiss

  • あいちトリエンナーレ2019の展示風景
    《The Kiss》2019
    Photo: Ito Tetsuo

ここ最近の十数年の間に、私たちの手にはスマホが当たり前のように握られる ようになりました。それらデバイスは常に体に寄り添い、まるで体の一部になったかのようです。その小さなスクリーンから溢れ出す大量の情報によって、私たちの感情はかつてないほど揺り動かされ、新しい形の出会い/すれ違い/分断などをも生み出しています。そんな時代を象徴するモニュメントはどんな形を取るのだろうか、という問いからこの作品が構想されました。大きな手の彫刻は社会主義の啓蒙的なモニュメントを連想させ、二つの腕が掲げるスクリーンに映された顔同士は、 まるでキスをしているかのように重ね合わされています。しかし実際にはただ目を閉じて個別に撮影された二つの顔の映像でしかないとも言えるでしょう。また、 手の彫刻部分は3Dプリンタで出力されており、データとして簡単にコピー可能であることも、啓蒙的なモニュメントとは違った軽さを湛えた彫刻として、この作品が象徴するものに不確かさを与えます。

エキソニモ

  • 1996年東京都にて結成
  • ニューヨーク(米国)拠点
  • Photo: Niko


千房けん輔と赤岩やえにより、1996年に結成されたアート・ユニット。インターネット黎明期よりネットそのものを題材に作品を制作・発表。ハッキング的な手法を得意とし、2000年以降は実空間での展示やパフォーマンスも行う。例えばGoogleのトップページ(www.google.com)を「インターネットの風景画」としてピクセル細部までアクリル絵の具で再現した《Natural Process》など、デジタル空間と物理空間をユーモラスに接続する手法に際立ったセンスを見せる。他に2012年より10数名のアーティスト等からなるコミュニティ「IDPW(アイパス)」を組織し、ネット上の商習慣を比喩的に実空間へと侵入させた「インターネットヤミ市」を開催、現在までに世界20以上の都市へと広がっている。

主な作品発表・受賞歴

2019 「ARTPORT: SUNRISE/SUNSET」ホイットニー美術館、ニューヨーク(米国)
2018 「ハロー・ワールド ポスト・ヒューマン時代に向けて」水戸芸術館現代美術ギャラリー、茨城
2012 第4回恵比寿映像祭 「映像のフィジカル」東京都写真美術館、 東京
2011 「世界制作の方法」国立国際美術館、大阪
2006 プリ・アルスエレクトロニカ2006、リンツ(オーストリア)、ネット・ヴィジョン部門ゴールデン・ニカ賞受賞

地図

愛知県美術館(10F)

所在地

〒461-8525
愛知県名古屋市東区東桜1丁目13−2
愛知芸術文化センター 10階

開館時間

10:00-18:00(金曜は20:00まで)
入館は閉館の30分前まで

休館日

月曜日(祝休日は除く)

バリアフリー

車椅子の無料貸し出しをしています。ご利用の方はインフォメーションまでお申し付けください。(各会場のバリアフリー対応状況は【こちら】

アクセス

・東山線または名城線「栄」駅下車 徒歩5分
・瀬戸線「栄町」駅下車 徒歩5分

問い合わせ

052-971-6111