日銀の外壁が一夜限りのアート空間へ石田尚志の映像作品プロジェクション

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8月11日に豊橋市公会堂で行われた石田尚志さんの「絵馬・絵巻/プロジェクション」の第2弾が、9月2日(金)日本銀行名古屋支店で開催された。そこに集まった観客1263名を魅了したプロジェクションの様子を少しだけレポート。

開始15分前、日銀前に到着すると、既にまだかまだかと待ちわびた観客たちが歩道に列を作っていた。小さな子どもを連れた家族やトリエンナーレのトートバックを持った方、通りすがりのサラリーマンなど、幅広い層の方がそのときを待ちわびていた。

マッピング引き

20時28分、外壁に青い玉が現れ、ふわふわと動き始めた。南東の外壁2面に写された映像は、連動性はあるもののまったく同じではなく、時に一枚の絵のように映し出される。石田尚志さんの作品らしい独特な筆遣いの線が次々と描かれていき、ぐるぐると回りながら柄や色、形を変えていく。観客からは「なんだか、万華鏡みたいだな」との声も。今度は同じような映像がキレイに整列し、壁を敷き詰めるように並ぶ。すると、今度は「まるで細胞分裂だな」と観客の一人がぽつり。観客はそれぞれ思い思いの受け取り方でプロジェクションを楽しんでいた。45分間の映像を路上で見るということで、最初は少し長いのではと感じていたが、観客は減るどころか増える一方。思ったよりもあっというの間に終わってしまった。

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マッピングトリ
観客から「おお~!」と声が上がったのが、こちらのトリさん

投影が終わった後、芸術監督の港千尋さんと石田尚志さんが現れると、観客から割れんばかりの拍手が鳴り響いた。

港監督・石田さん
プロジェクション終了後、芸術監督の港千尋さん(右)と石田尚志さん(左)が登場。
(港監督が手にしてるのは、会場となった長者町に本店を構える「お茶の升半」の抹茶アイス。営業時間外にも関わらずプロジェクション終了までずっと販売してくれていたので、食べた方もいたのでは?)

ビルが立ち並ぶ名古屋のど真ん中でアートに触れ、少しの時間だけ現実を忘れて一息つける場となった今回のプロジェクション。それはまるで、あいちトリエンナーレ2016のテーマにもなっている「虹のキャラヴァンサライ」をそのまま形にしたような企画に感じた。

今回の映像作品の作者・石田尚志さんの作品は豊橋駅前大通会場の開発ビル10階でも見ることができるので、プロジェクションを見た人も見ていない人も一度足を運んでみては。

TEXT:海野窓佳

 

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