子どもたちの目が輝く芸術祭ダミコルームとキャラヴァンファクトリー

ダミコルーム 01

「あいちトリエンナーレ」では毎回、「キッズトリエンナーレ」の名称で、子どもに向けてアートを普及・教育する企画が行われてきた。

●取り組みは2010年から
第1回の「あいちトリエンナーレ2010」では愛知芸術文化センターに子どもたちが無料で自由に創作したり、アーティストと一緒に作品を作ったりできる「デンスタジオ」を設置。色紙、ダンボールなど多くの素材が揃えられた開放的なスタジオは、期間中、多くの親子連れの来場者で賑わった。
2013年の前回も、引き続き創作スタジオを設置。参加アーティストによるプログラムや公募企画など20種類以上の多彩なワークショップを行った。
今回のトリエンナーレでも子どもや一般の人々が現代芸術に触れ、アートを体感できる場を設ける普及・教育プログラムには、力が注がれている。芸文センターに訪れる家族連れの皆さんは、ぜひとも12階に足を運んで「ダミコルーム」と「キャラヴァンファクトリー」を体験してみよう。

キャラヴァンファクトリー 02

●ダミコルーム
ダミコルームは、ニューヨーク近代美術館の初代教育部長だったビクトル・ダミコさんから名前が付けられた空間。当時は実現できなかった子どもたちのための「アートティーチング・トイ」を、1995年に「こどもの城」(国立大型児童館、1984~2015)が復元。光、かたち、色など美術を構成する要素を直観的に体感できる19の装置は、触覚や感覚を研ぎ澄まし、アートの世界に入りこむ手助けをする。

ダミコルーム 04

ルーム内を見渡すと、スタッフの説明に感心するお父さん、お母さんと、効果など気にせずに自由に遊ぶ子どもたちの対比が面白い。いつしか親子で装置をのぞき込む姿があちこちで見られた。

ダミコルーム 02

●キャラヴァンファクトリー
ダミコルームに隣接するキャラヴァンファクトリーは、子どもから大人まで創作活動を楽しめる空間が展開されている。用意された材料や道具で取り組むのは「創意工夫」。決められたものを言われた通りに作るのではなく、工夫しながら何が作れるのかを考えて取り組む「ものづくり」体験の場だ。
プログラムは3種類を用意。偶然選ばれる3つのキーワードからその場にある材料と道具を使ってグループで協力して「何か」を作り出す「とことん」プログラム、切ったり、貼ったりの短時間でできる作業を楽しむ「のびのび」プログラム、好奇心をくすぐる仕掛けを見たり、聴いたり、触れたりする「いつでも」プログラムだ。

キャラヴァンファクトリー 04

●子ども向け、家族向けの鑑賞プログラム
本展の展示作品についての理解を深める家族連れ向けの鑑賞プログラムも充実している。キュレーターと共に会場を巡る「ベビーカーツアー」、「こどもキャラヴァン」、など、さまざまな企画が用意されている。どちらも事前の申し込みが必要なので、トリエンナーレ公式サイトの応募フォームから申し込みを。
★鑑賞プログラムの応募フォームはこちら!


ダミコルーム 03

子どもたちの好奇心に輝く目や笑顔に満ちた芸術祭は、最先端の現代アートの結集や街なか展開の隆盛と同様、あいちトリエンナーレスタッフにとって大切な目標だろう。この普及・教育活動の先に、住んでいる人々が実感できる「アートシティ愛知」が生まれていくはずだ。

TEXT:竹本真哉

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