パフォーミングアーツの全体像も発表初の試み「レインボーウィークス」も実施!
いよいよ開幕が迫るが、「あいちトリエンナーレ」は現代美術だけでなく、その大きな特徴のひとつとして、パフォーミングアーツがあることを忘れてはいけない。いわゆる舞台芸術のことだ。今回も、10組13作品が名古屋、豊橋、岡崎の三都市で上演される。
また、パフォーミングアーツを集中的に上演する「レインボーウィークス」(10月6日~10月23日)という試みも行われる。
唐津絵理キュレーターは「あいちトリエンナーレは国際美術展とパフォーミングアーツという2つのアートにアプローチをしている世界でもかなり珍しいフェスティバルです。それぞれ充実している芸術祭は世界中にたくさんありますが、これだけの規模、内容を同時期に行うというものは例がありません。3回目となる今回もほぼ同規模で行われることになりました」と話した。
選出作品については「現代芸術祭なので基本的には先鋭的な作品にフォーカスをしています。また、トリエンナーレの特徴でもあるボーダーレスな作品を選んでいます。ダンス、音楽、演劇、映像といった一つのジャンルではなく、ジャンル間を行き来するフレキシブルな作品が多くなっています。また、国際性に注目した場合、言葉の壁が非常に大きくなりますが、言葉が無くても分かる、体感できるような身体表現や音楽にアプローチする作品が中心となっています」と紹介した。
レインボーウィークスは初の試み。「長い会期の中で全体が薄まってしまうことがないよう、パフォーミングアーツ11作品が連続して上演される3週間を設定し、一つのフェスティバルとしての大きな盛り上がりを作り出します。1日訪れたら、会場をはしごしてたくさんの作品を見ることができます。県内はもちろん県外、海外からも楽しみやすい形式のフェスティバルになりました」。
イスラエル・ガルバン photo: Luis Castilla
「全てのアーティストは今回のテーマ『虹のキャラヴァンサライ 創造する人間の旅』に基づいて、セレクトされています」と唐津キュレーター。今回を象徴するメインアーティストとして、フィリップ・ドゥクフレさん、イスラエル・ガルバンさんらをあげた。
「ドゥクフレさんはコンテンポラリーサーカスの出身で、振付師、映像作家でもあり、パリを拠点にジャンルを横断した活動をしています。今回は彼の集大成にして新境地の一大スペクタクル作品を上演します。ガルバンさんはスペイン・セビリアが拠点のダンサー。フラメンコがどういった変遷をたどり、どういったことを続けてきて今があるのかを問いかける作品です。伝統的な歴史から今日までの時間的な旅を想起させます」。
唐津キュレーターは「ブラジル、東南アジアなどからもアーティストを招へいした空間的な広がりや、パフォーミングアーツの原点、原初的な身体を探るアプローチなど、今までにない魅力的な全体像になった。すでに何組かのアーティストが下見に訪れているが、とても魅力的な公演になると期待している。ぜひ、世界から集まるステージを愛知で見ていただきたい」と話した。
「あいちトリエンナーレ2016」唐津絵理キュレーター
TEXT:竹本真哉