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透明なハコを潜り抜けると… 空中回廊が廻る秘密基地の家
個人邸ながら「都市に開いていく家」。
暮らしが街へにじみ出ていくかのようです。
道路沿いにはピロティのあるガラス張りの透明な棟。
頭上に目をやると小さなバレリーナのレッスンする姿がみられるかもしれません。
庭というよりも森のような景色の奥に、おとぎの国のような住宅棟が見え隠れします。
空を見上げれば、両者をつなぐダイナミックな空中回廊!これを渡る体験は爽快そのもの。
「ヤッホー」と思わず叫んでしまいそう。冒険心をくすぐる住宅です。
自主企画
『studio velocity「庭と公園と部屋」展』9月16日(月)10:00〜17:00開催
『ina takayuki「triangle squre」展』9月21日(土)〜23日(月)11:00〜16:00開催

naikan
都市に開いていく家

House Open to The City

9.15.sun 10:45-,14:45-
  • 定 員=各20名
  • ガイド=studio velocity(建築家)
        (あいちトリエンナーレ2013出品作家)
  • 設 計=栗原健太郎+岩月美穂/studio velocity
  • 施 工=創SHINKO株式会社シンコー建創
  • 竣 工=2013年
  • 住 所=名古屋市瑞穂区(個人宅)
    ※スタート時間は事務局にて割り振りいたします。見学時間は90分を予定しています。ご了承下さい。
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台風18号が迫る9月15日、「透明なハコを潜り抜けると… 空中回廊が廻る秘密基地の家」と題して、岡崎拠点の建築家ユニットstudio velocity設計による現代住宅「都市に開いていく家」のオープンアーキテクチャーを実施しました。

今春引き渡されたばかりの真新しいこの住宅の特徴は、何と言っても、空中回廊のある中庭。雲行きは怪しいながらも天気予報は外れて幸い、各回20名参加の全三回とも、雨に降られることなく空間体験を堪能することができました。

最寄駅集合後、現地へ向かう一行に「こんにちは〜。いらっしゃいませ〜。」と駆け寄ったのは、この日を心待ちにしてくれていた小学一年生の娘さん。笑顔の一撃からスタートし、終始リラックスモードの会になりました。

この住宅では、歩を進めるたび、先入観を覆させられる驚きが待っていました。
個人邸だというのに全面ガラス張りの外観、ピロティを潜り抜けると現れる森、奥に進むにつれ小高くなる地形、樹々の合間に見え隠れする木製サッシの可愛らしい母屋、目を疑う長さで架かる空中回廊。木漏れ日のもとでのバーベキューやハンモック、風に揺れる洗濯物、生活のプライベートな面はもちろん守りつつ、暖かみのある家族や身の回りの人々の姿が、街の空気を優しく変えてくれるようです。

唯一無二のこの住宅はどうして出来上がることになったのでしょう。奥の母屋で、設計者の栗原健太郎さん・岩月美穂さん、住まい手である山下さんご家族のスペシャルトークを伺いました。
栗原さん・岩月さんからは、周囲を建物に囲まれた細長い敷地でなぜ分棟の配置を採用したのか、周囲と共有する中庭の存在、スキップ型の各床の高さ設定、空中回路が途中に柱なく薄いまま架かっている力学的根拠などを分かり易くお話いただきました。鉄工所で行われた回廊の荷重実験の様子、回廊がクレーンに吊られて運び入れられる様子などメイキング映像が映し出されると、参加者からは「おお…!」と感嘆の声が。家づくりは職人さんたちの素晴らしい技にも支えられているのですね。
山下さんからは、建築家との家づくりの動機、山下家の生活や将来像を整理したオーダーシートの作成、これに基づきコンペ形式で行った建築家選定、結果としてどうしてstudio velocityを指名することになったかなどお話いただきました。

トーク後は2グループに分かれて建物の全貌を見学しました。三階建ての母屋が大袈裟過ぎないよう天井高が低めにコントロールされていること、この空間で日々どのように暮らしがなされているか、設計者と住まい手がガイドだからこそ、身近なお話をたくさん伺いながら巡ることができました。階段やハシゴを上り下りしたり、回廊を行き来したり、20名以上が同時に移動する光景もまた、スペシャルなものだったように思います。
見学を終えると、娘さんお手製のクジ引きが待っていました。この日のために何日も前から準備してくれたようです。漏れなく景品が当たる優しさ。皆の笑顔を引き出してくれたご家族に感謝します!

今後の山下さん家族の動向にも注目です。この企画をきっかけに、ガラス棟においてさまざまなアーティストの展覧会を開催していく方向だそうです。studio velocity出品「庭と公園と部屋」展(9月16日開催)、ina takayuki出品「triangle squre」展(9月21日〜23日開催)はすでに終了しましたが、今回オープンアーキテクチャーに参加できなかった方も、今後の企画に合わせて足を運んでみてはいかがでしょうか。

(文=オープンアーキテクチャー推進チーム 道尾淳子、学生ボランティア 中野絵梨)