あいちトリエンナーレ

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2010.05.20

あいちトリエンナーレ2010現代美術展企画コンペ(長者町)の選考結果と選考委員講評

応募企画数
300企画(在住地:日本271企画 海外29企画)
 
選考結果
選考委員が1次選考(書類選考)、2次選考(プレゼンテーションとヒアリング)により、以下のとおり企画・展示する12企画を決定した。
 
大西治・大西雅子
大山エンリコイサム
小野友美
上西エリカ
北川貴好
小島千雪
櫻井裕子
佐藤健博
タムラサトル
長者町デキタテ工房
戸井田雄
トロロスタジオ+栗本設計所/谷川寛+栗本真壱
(五十音順)
 
選考委員講評
五十嵐太郎(建築評論家、東北大学大学院教授)
長者町コンペは、美術館という箱から飛び出る、街に開かれたアート・イベントであり、バラエティのある選択を意識した。屋内外の場所にふさわしい絵画、彫刻、インスタレーション。精度の高い純粋芸術や大衆的なポップ。あるいは、すでにスタイルを確立しており、安心して依頼できるものや、コンペだからこその実験的なとりくみ。とくに街へのチャレンジグな提案を試みた後者には、未来への可能性を提示してくれることを期待したい。
 
児島やよい(フリーランス・キュレーター、ライター)
300もの応募案から、このトリエンナーレへの関心の高さと、そこに参加したいという熱意をひしひしと感じた。が、全体に、「今、ここならでは」の説得力と、紙面でのプレゼンにもう一工夫欲しいと思った。いわゆる美術の為の空間ではない場所での展示案としてユニークなものが多い中、街をダイナミックに使う案と、街を見つめ直す視点のある案を重点的に選考した。味も癖もあるスペースに負けずに、相乗効果で「2010年、長者町繊維街ならではの、ここで輝く作品」が観られると期待している。
 
馬場駿吉(名古屋ボストン美術館館長)
長者町には美術館とは異なる空間的な特殊性があるばかりではなく、時間的にも異質なものがある。それを意識した企画には、立体構造をもつものやインスタレーションという展示手法を用いるものが多く、なかには町中を移動するものなど、発表形式も多様。応募300件の中から最終的に審査員の合意が得られて選定された12件は、いずれも町の日常に変化を与える一石を投じつつ、作家としての創造的な内実が透見出来るものと言えよう。
 
山本さつき(美術批評家)
評価の最重要項目は作品の質であるが、アートスペース会場企画コンペとの違いとしては、場の問題を意識せざるを得ない。とはいえ、厳密な意味でのサイト・スペシフィックには拘らず、自身の制作やその姿勢との自然な繋がりをより重視した。場の調査に基づく大型プロジェクトから、国際展という華やかな背景に対しては意外なほどの慎ましい展示までが最終的に選出されたことについては、このような審査態度からも好ましい結果であった。
 
豊島徳三(豊島株式会社副会長)
300点もの応募があり、注目度の高さを感じた。長者町のつくりや隙間を利用した、今回のためのオリジナルの企画やアイデアを見る中で、改めて長者町らしさを実感した。中でも大西治さん・大西雅子さんの企画については、町中を動き回り人と関わる点を評価した。企画コンペを含むトリエンナーレが、これからも継続的に長者町との関係性を築いていき、会期が終わっても共有できるものを残していってほしいと考えている。
 
丹羽幸彦(丹羽幸株式会社代表取締役)
1次選考では直感を大事にして選考し、2次選考では会場を想定して実現可能か、予算は適切か、繊維街にどうフィットするかを考えて選考した。トロロスタジオ+栗本設計所/谷川寛+栗本真壱の企画には美的センスを感じ、実現するには苦労があると思うが、成功したら町にとってもおもしろいことになると期待している。お祭り感のある楽しい作品も多く、ゑびす祭りとのコラボレーションができると良い。本展の展示との兼ね合いも楽しみにしている。