緑芝に浮かぶ白い屋根、公園のような中庭回廊の建築
東海道藤川宿に程近い愛知産業大学岡崎キャンパス。
駅を結ぶスクールバス発着所こそが今回の見学先です。
トリエンナーレ出品作家studio velocity設計の開学20周年メモリアル建築を本人たちのガイドで堪能します。
既存棟に囲まれた旧中庭は、交通、人、情報の中継点。縦横に交差する回廊と
開閉自由なガラスの空間は一面の芝生に舞い降りたかのように軽やか。
地形の高低差を感じさせず緩やかで、室内か屋外かの境界も溶けていくようです。
オープンアーキテクチャースペシャル企画
トリエンナーレ出品作家studio velocity×五十嵐太郎芸術監督×愛知産業大学学長・小川英明氏の鼎談を開催。
名古屋音楽大学
サクソフォーンアンサンブル
波田野 歩(S.Sx)
川﨑 綾(A.Sx)
川瀬 崇央(T.Sx)
國領 さおり(B.Sx)
鈴木 豊大(Pr.)
による演奏会を開催。
愛知産業大学
言語・情報教育センター
Achi Sangyo University
Educational Center for Language and IT
8.21.wed 13:30-16:00
- 定 員=60名
- ガイド=studio velocity
(建築家、あいちトリエンナーレ2013出品作家)
- 設 計=栗原健太郎+岩月美穂/studio velocity
- 施 工=熊谷組
- 竣 工=2013年
- 住 所=岡崎市岡町原山12-5
熱中症を心配するくらい天候に恵まれた8月21日の午後。
岡崎市にある愛知産業大学言語・情報共育センターにて、スペシャル企画三本立てのオープンアーキテクチャーを開催しました。
名古屋音楽大学吹奏楽部の皆さんによるサクソフォーンアンサンブルでイベントが幕開け!室内とは思えないほど緑芝が目に入る開放的な空間で「情熱大陸」などの力強い楽曲が奏でられ、これから始まるイベントへの期待感を高めてくれました。
そして、設計者であるstudio velocityのお二人、栗原さんと岩月さんによる見学ポイントの解説です。建設前の敷地の状態から今の姿に至るまでのプロセスを分かりやすくお話いただきました。なぜガラス張りの空間なのか、なぜガラスが変に反射せず透明なまま幾層もあり得るのか、なぜ白く細い柱なのに建築として強いのかなど。実は一面の芝生の下にもこの建築を成立させる職人泣かせの工夫を施したとか。一見しただけではわからない「なるほど!」ポイントが語られました。
続いて、建築ツアーへ出発です。2グループに分かれ、敷地内をくまなく、さらには周辺建物から角度や高さを変えて白く浮かぶ屋根の実体を捉えていきました。とりわけ屋上は関係者でも普段立ち入ることのできない場所。三河山地から岡崎市街のある平野部まで360度を一望できる絶景でした。
見学後は、室内外の各々好きな場所に座って小休憩です。大学側のご好意で、氷水でキンキンに冷えたお茶をいただきました。暑い中歩き回ったので生き返ります!そして、癒しの音楽プログラムが再び。ガラス戸を開け放し室内外が一体となった中で奏でられます。まるで広々した公園にいるかのような居心地の良い時間です。
最後は、studio velocity×小川学長×五十嵐太郎監督の語らいの時間(鼎談)です。『開学20周年を記念して使い方を模索する建築を建て、学生主体の運営チームを発足させた』とユニークな一大プロジェクトについて話す小川学長。『今回の音楽プログラムで建物の内と外の隔たりなく使えたのがすごく良かった。東西南北に加え“見下ろす”という第五の立面があるのがこの建物の特徴』と五十嵐監督。今回のあいちトリエンナーレの出品作家でもあるstudio velocityは、岡崎地区康生会場の一つであるシビコ屋上に展示した自らの作品に関するエピソードも語られました。会場からは、栗原さん・岩月さんがどのように設計を協働されているのか、また、この場所のかつてを知る人からは元々あった木々を残さなかったのはなぜ?という質問も投げかけられました。夕暮れの涼しい風に吹かれながらじっくり語らう時間となりました。
(オープンアーキテクチャー推進チーム 道尾淳子、学生ボランティア 依田紋佳・中野絵梨・篠田卓臣)