1965年ヘルシンキ(フィンランド)生まれ。ヘルシンキを拠点に活動。
ヘルシンキ大学で文化人類学を学んだ後、ラハティデザイン研究所の映像学科を卒業。科学技術の進歩に関心を寄せるターニラの作品は、記録映像と実験映画の両方の側面を持ち、現実とファンタジーを行き来する。テクノロジーと芸術が融合したユートピアや近未来的ビジョンは、一方で考古学や科学ファンによるアマチュアフィルムのような好奇心も覗かせながら、さまざまな角度から社会の中心に据えられた技術開発を観察、検討している。
2012年ドクメンタ13で発表された《The Most Electrified Town in Finland》(2004-2012)は、フィンランド南西部ユーラヨキ自治州のオルキルオト島に2014年完成予定の原発「オルキルオト3」を撮影した作品。2基の原子炉を持つこの施設は、西欧ではチェルノブイリ原子力発電所事故後に作られた最初の原発となる。本作にはその賛否を議論するアプローチは見出されず、人口6千人ほどの小さな町の景観のなかで、新たな原子炉が建設されていく様が淡々と映し出される。ターニラが2004年から取り組んだ本作は、見る者に国家権力と地域の関係、ならびに経済効果を生む原子力エネルギー依存に陥った町の運命について考えさせる。あいちトリエンナーレ2013でも展示予定の本作には、主要都市と地方都市の間の格差も暗示され、日本でも福島を始め、原子力発電所を受け入れた多くの地方で生じる問題を浮き彫りにしている。
《The Most Electrified Town In Finland》2004-2012 photo: Anders Sune Berg in dOCUMENTA (13), Kassel, Germany, 2012 |
展示会場 | 愛知県美術館 8階(A-19) |
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作品情報 ・《作品名》 ・制作年 ・上映時間 (映像作品のみ) ・所蔵 |
《フィンランドで最も電化した町》 2004-2012 15分 |