現代美術

作品・展示会場情報

アンジェリカ・メシティ(Angelica MESITI)

1976年シドニー(オーストラリア)生まれ。シドニーを拠点に活動。

ニュー・サウス・ウェールズ大学で美術を学んだメシティは、ビデオ、パフォーマンス、インスタレーションなどの手法にサイト・スペシフィックな行為や、現実の出来事のフィクション化あるいは記録といったアプローチを交えた作品を作りだす。2010年パリのポンピドー・センターやロンドンのテート・モダンのグループ展で紹介された後、2012年メルボルンの現代美術センターACCAの新進作家紹介展「NEW12」で《Citizens Band》(2012)を発表。現在オーストラリアで最も注目を集める若手アーティストの一人として活躍している。
高い評価を受けた本作は、空間に正方形に配された4つの画面それぞれに、移民のパフォーマーが、自らが暮らす都市の一角で音楽を奏でる様子が鮮やかに映し出される。カメルーン出身のパーカッショニストは、パリの室内プールで水面を舞台に手で見事なドラミングをみせる。アルジェリアからパリに移民してきたストリート・シンガーは、メトロで壊れかけたカシオのキーボードを肩にのせ哀歌を歌う。モンゴルがルーツのホーメイ歌手はシドニーの街角で胡弓を奏でながら独特の声を響かせ、スーダン出身でブリスベンに暮らすタクシー運転手は、運転席で哀愁漂う口笛で曲を奏でる。音楽と共に生きる喜びと移民として暮らす複雑な現実の気配を漂わせながら、4名の圧倒的なパフォーマンスは、文化間の移動によって失われゆく旋律と歴史という悲しい現実を示唆しつつ、観る者を魅了する。

  《Citizens Band》2012
courtesy of the artist and Anna Schwartz Gallery
展示会場 納屋橋 東陽倉庫テナントビル(D-04)
作品情報
・《作品名》
・制作年
・上映時間
(映像作品のみ)
・所蔵
《シティズンズ・バンド》 2012 21分25秒
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