【アート初心者が行く!】あいトリNAVIスタッフが観た作品たち~最終日・長者町編~

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8月11日に始まった今回のトリエンナーレも、74日間の会期を経て、10月23日についに幕を閉じました。名古屋、岡崎市内を巡ってきたアート初心者の筆者が、最終日は長者町周辺を楽しんできました。
まずは、前回の展示作品もある伏見地下街へ。レトロな地下道にトリックアートが描かれ、独特な雰囲気に包まれています。

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床にはちゃんとビューポイントも。ここから撮影すればばっちり錯視効果を見ることができます

地上に出ると、長者町繊維街にはたくさんの人だかりが!10月22日(土)・23日(日)の二日間、巨大フリーマーケット「長者町ゑびす祭り」が行われていました。激安の衣料品や長者町グルメの屋台、手作りアクセサリーの販売などがずらっと並びます。長者町エリアにもトリエンナーレ作品がいくつか出展しているので、最終日を盛り上げるかのような賑わいでした。

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筆者が楽しみにしていたこの日のメインイベント、カンパニー・ディディエ・テロンの「膨らんだ冒険」シリーズ。このダンス集団を見ようとたくさんの人が集まるところに、カラフルで不思議なコスチュームをまとったダンサーたちが現れました!

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なんだこれー!中には泣き出す子供も……。

音楽も、言葉もなく、街の風景をとりこみながらパフォーマンスを繰り広げ、そして自由に動き回るこの集団。ゆったりと動いたかと思えば突然走り出したり、どこへ向かうのかも分かりません。ガソリンスタンド、コンビニ、カフェでお茶をしだしたりとあらゆる場所でゲリラ的にパフォーマンスが行われ、もう何が何だかわからないけど面白い!最後まで見たい!と思い、筆者も観客もダッシュで追いかけます。

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大きな交差点に差し掛かり、青信号に変わった途端にダンサー集団は猛ダッシュ。と思えば引き返す。を繰り返し、赤信号に変わるときには道路の真ん中にダンサーが一人取り残されてしまいました。

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仲間のダンサーが見守る中、行き交う車の間でも一人パフォーマンスをするではありませんか!(これは本当にヒヤヒヤしました)次に青信号に変わると、他のダンサーが道路の真ん中に駆け寄り、これにてパフォーマンスは終了。ギャラリーたちからは大きな拍手が送られました。

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街全体を巻き込んで体ひとつ(あとコスチュームも)で体現する様子に、これがアートか……と思い知らされた筆者。お腹いっぱいになりつつも、他の作品を観て回ることに。
堀田商事株式会社のビルでの、筆者が気になった作品をピックアップします。3階にはアドリアナ・ミノリーティの作品が。幾何学的なデザインの絵画やインスタレーション、映像などが並んだ不思議な空間が演出されていました。

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4階の大木裕之さんの作品へ行くと、生活感出まくりな光景が目の前に。お酒のビン、あらゆるゴミ、新聞紙などが溢れかえっています。大木さんは東京と高知を拠点に活動しており、移動の合間に実際にこの部屋で生活していたため、会期中にどんどんゴミが増えていっていたそうです。

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次に、八木兵錦6号館ビルへ。洋服、靴、アクセサリーなどを描く佐藤翠さんの作品は、まるでクローゼットの中に入り込んだかのよう。女性ならではの煌びやかな感性で描かれていました。

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『蜜蝋画』という手の込んだ技法を用いて製作している今村文さんの作品は、草花や木をモチーフにしており、ふんわりとしたテイストからビビットなテイストまでどれも素敵な作品ばかり。離れて見るのと近付いて見るのとでは、全く違う表情を見せてくれます。近くでじっくり見ると、葉っぱ一枚一枚も細やかに作りこまれており、まるで標本のよう。しばらく何も考えずに眺めていたくなる、幻想的な空間でした。

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最後は、閉幕セレモニーが行われる愛知芸術文化センター2階デッキへ。8月の開幕から、名古屋市美術館、穂の国とよはし芸術劇場PLAT、籠田公園、モバイル・トリエンナーレの各会場で展開されていたジョアン・モデの作品《NET Project》が集められていました。

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そして、芸術監督・港 千尋さんが駆けつけ、今回のトリエンナーレについてご挨拶されました。

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PHOTO:河上 良

「あいちトリエンナーレはアーティストだけではなく、アートを観たい人、興味を持った人、これから作ってみたい人、そして芸術祭全てを共有したい全ての人によって創られたものと言えるでしょう。74日間に色々な形でアートの場が生まれ、我々はそれを通じて、人が集まれば、そして身体さえあれば何かできるということを学んだのではないでしょうか。
今日で閉幕ではありますが、これが終わりではありません。“さよなら”とは言いません。“良い旅を”と言いましょう。ありがとうございました。」

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セレモニーに来ていたアーティストたちも、最後に紐を結んでいました

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最後に港監督、アーティスト、スタッフたちで記念撮影!

今回初めて『アート』に触れ、気になったアーティストの作品をもっと見たい、知りたいと、純粋に興味が湧いた筆者。今回のテーマ「虹のキャラヴァンサライ 創造する人間の旅」のように、こうして人と人が繋がっていくのだなぁと改めて思うことができました。長いようであっという間の74日間でしたが、3年後の開催が今から楽しみでなりません。

TEXT:栗本 恵里

 
   

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