【あいトリNAVI × LIVERARY】あいトリに行ってみた!ラリー⑫山口美智留

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「あいトリNAVI」×「LIVERARY」によるコラボ企画「あいちトリエンナーレ2016に行ってみた!ラリー」がスタート。あいちトリエンナーレに関わる人々、その街に住む人々などが、人から人へとつなぎながら、いろいろな視点で街やイベントや魅力を紹介していきます。第十二回目は、岐阜県にある「GALLERY CAPTION」でディレクターをされている山口 美智留さんにお話を伺いました!

「あいトリNAVI」×「LIVERARY」あいちトリエンナーレに行ってみた!ラリー
⑫山口 美智留

Q1. まずは自己紹介をお願いします。
岐阜市にある「GALLERY CAPTION」でディレクターをしています。年に数本の展覧会の企画の他、2014年からはセカンドスペースfrontも運営しています。

Q2. トリエンナーレのどこの会場に行きましたか?
愛知県美術館、名古屋市美術館、旧明治屋ビル。

Q3. 観て面白かった、良かった、心に残った作品を1~3つほど教えてください。
寺田就子「向かいあう光 浮かびあがる影」(栄会場/旧明治屋ビル)。
老朽化が進んだとは言え、古き良き近代建築の面影が残る旧明治屋ビル。すでに取り壊されることが決まっており、建物を見学できるだけでも貴重な機会です。寺田さんは、その3階、元バレエスタジオという特徴的な空間を活かしたインスタレーションを展開しています。
黄色の蛍光色に塗られたレッスン用のバーによってフレーミングされた空間。窓から射しこむシート越しの色付きの光がフローリングに鈍く映り、ひかえめに配置された作品の存在を、より静かなものにしているのが印象的です。光を受けてくるくると回りつづけるラジオメーター、透明のアクリル板は姿を消したり現わしたり。作品そのものの姿かたちではなく、光の反射と陰影が織りなす現象の現れの、虚と実のわずかなあわいに広がる世界。展示会場で過ごしている間、フロアを前にして、しばし佇む人が多く見られました。

「みんなで見て楽しむのではなく、自分だけが見ている、自分だけに見えている世界を大切にしたい」

何年か前、作品を大きく展開することは考えないのかと尋ねた私に、作家はこう答えました。自分自身の立ち位置や視点、ましてや光の加減によって不意に姿を変化させる彼女の作品の表情をとらえ、確かめることができるのは、鑑賞者の意思を持った目でしかありません。小さな音や声に耳を澄ますように、作品のひとつひとつ、空間の微細な変化に心を向けることで開かれる世界を、この機会に感じていただければと思います。

名古屋市美術館の小杉武久さんの作品も、新鮮な音と空間の体験でした。最終日のパフォーマンスも楽しみにしています。

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Q4. 会場の近くでおススメのお店、スポットなどがあれば教えてください。
名古屋市科学館。あの銀色の球体、いつもカッコいいな~、と思いながら、眺めています。

Q5. 好きなアーティストを教えてください。またその魅力や理由も。
好きな作家、影響を受けている作家は、美術の分野にかぎらず挙げられますが、寺田就子をはじめ、藤本由紀夫、大岩オスカール、尹熙倉ら、ギャラリーで取り扱うアーティストたちとの出会いほど、自分にとって大切な存在はないように思います。いまを生きるアーティストの活動を目の当たりにし、直に接しながら仕事ができるということは、何にも代えがたい経験です。皆さんも是非、トリエンナーレで同時代のアーティストの表現に触れてみてください。

Q6. 最後にひとこと。
GALLERY CAPTIONでは10月8日より、2人展「金田実生/尹熙倉」を予定しています。尹熙倉(ゆん・ひちゃん)は愛知県陶磁美術館で10月23日(日)まで開催中の「人が大地と出会うとき」にも出品しています。金田実生(かねだ・みお)は東京を拠点として、主に油彩を制作しており、当廊では初めての本格的なご紹介となります。また11月には寺田就子の個展も予定しています。あわせて是非お出かけください。

「金田実生/尹熙倉」
2016年10月8日(土) ~ 11月5日(土)
12:00-18:30 月・火曜日休廊

 

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