【パフォーミングアーツのススメ】レインボーウィークス 第1週

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さて、いよいよ「あいちトリエンナーレ2016」も後半戦に。
しかし、盛り上がるのはまだまだこれから!後半の山場、「レインボーウィークス」がやってきます!!

「レインボーウィークス」とは何ぞや、という人にちょっと解説を。あいちトリエンナーレの特色はパフォーミングアーツ(舞台芸術)が上演される点。それを毎週末ごとに集中して見られる会期ラストの3週間が「レインボーウィークス」なのです。

《レインボーウィークス》
10月6日(木)~10日(月・祝)アジアン・サウンズ・リサーチ
10月7日(金)~9日(日)イスラエル・ガルバン
10月8日(土)~10日(月・祝)アニマル・レリジョン

10月15日(土)・16日(日)イスラエル・ガルバン
10月15日(土)・16日(日)カンパニーDCA/フィリップ・ドゥクフレ

10月21日(金)~23日(日)カンパニー・ディディエ・テロン
10月22日(土)・23日(日)Co.山田うん
10月22日(土)・23日(日)小杉武久
10月23日(日)青木涼子

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毎週末に複数の公演が予定されていて、時間が絶妙に分かれているのでハシゴしての鑑賞が可能。遠方から来る人にとっても、短い滞在で見逃し厳禁の貴重な作品を複数観られるという特に嬉しい期間と言えます。

過去2回のあいちトリエンナーレとの違いのひとつとして、招聘したアーティストたちの拠点の広がりがあります。今回、芸術監督である港千尋氏より“なるべく今まで扱ってないような多様な地域から、見たことのない表現、今まで知らないカンパニーを発掘してほしい”というオーダーが出たそうです。それを受け、キュレーターたちは意図的に今までいったことのない地域へリサーチに出発。結果、日本初上陸のアーティストをはじめとする貴重な公演が観られるようになりました。また、もうひとつの特徴がジャンルの横断。これ自体は前2回も含む特徴のひとつでもあるのですが、ダンスや演劇、音楽など、ジャンルを越えた新しい挑戦が「あいちトリエンナーレ」にはいっぱいあります。

さて、ここまで全体を説明しましたが、結局大事なのは各公演の内容ですよね。
それを続いて紹介していきます。
(これは筆者が各所からヒアリングした内容を元に紹介しておりますが、今この直前のタイミングですらアーティストたちが日々自らの作品内容を更新しているので、実際と違うこともあるやもしれません。その場合は行った際の驚きも含めて楽しんでください)

まず今回は、レインボーウィークスの始まりを告げる第1週目から。

アジアン・サウンズ・リサーチ(プロジェクト・ディレクター:Sachiko M)
「OPEN GATE 2016」【日本初演】
10月6日(木)~10日(月・祝)岡崎シビコ
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アジアン・サウンズ・リサーチ『OPEN GATE 動き続ける展覧会』ペナン島(マレーシア) 2015
photo: Win Win 提供:Asian Sounds Research
当日、蓋を空けてみないと何が起こるかわからないプロジェクト。
プロジェクト・ディレクターであるSachiko Mさん(ミニマルな即興音楽を演奏したり、NHKドラマ「あまちゃん」の挿入歌「潮騒のメモリー」を共同作曲したりとても幅広い活動をしている方です)が、自らマレーシアなどASEAN地域に行き、ミュージシャンや作家を発掘。日本からも人を集め、現代美術の展示と演奏を同時に行います。しかも、完成されたパフォーマンスを行うのではなく、その場の空気やアーティスト同士のやり取りの中で、日々違うパフォーマンスが行われるのです。観客はアーティストたちと同じ屋上に立ち、同じ目線で入り混じって鑑賞。お客はもちろんアーティストも出入り自由というフリーダムな空間が広がります。
アーティストの選定するために旅をし、マレーシア・ペナン島で行った第1回から日本へプロジェクトが旅をし変化していくという、あいちトリエンナーレ2016のテーマのひとつである「旅」を体現するかのようです。

イスラエル・ガルバン
「SOLO」【日本初演】
10月7日(金)~9日(日)愛知県芸術劇場 小ホール
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photo: Luis Castilla
2週に渡って違う作品を上演するなんて、期待感高まるアーティストです。実は港監督とキュレーターがどんなアーティストを呼びたいか話したとき、最初に監督の口から好きなアーティストとして出たのが彼だとか。
イスラエル・ガルバンは、フラメンコ一家の中で生まれた業界の血統書付人物。それでいながら、伝統を守り続けるだけではなく何か新しい変化をしていこうと挑戦し続けており、今回はそんな彼の両面が見られることになります。
まず第1週目に上演する「SOLO」は、タイトル通り、音楽もなく、照明もなく、身ひとつで45分間踊るという完全にソロの作品です。フラメンコにある3つの要素、バイレと呼ばれる踊り、カンテと呼ばれる歌、そしてギター。三位一体で形作られるフラメンコを、たた一人で表現するのです。音楽はいろんなところにマイクを仕込んであるので、自分の体を叩き、足で音を出し、それらを増幅していきます。フラメンコの形をとことん追及していくことで、逆に表出した新しさをご覧ください。
第2週目に上演する「FLA.CO.MEN」については、次回ご紹介します。

アニマル・レリジョン
「Chicken Legz」【日本初演・初来日】
10月8日(土)~10日(月・祝)豊橋公園

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『Chicken Legz』 2014 提供:Animal Religion
前述した“なるべく今まで扱ってないような多様な地域から、見たことのない表現、今まで知らないカンパニーを発掘してほしい”というお題から見つけたカンパニーのひとつがこれ。キュレーターが、タレガというバルセロナから1時間以上かかる山合いで行われたフェスティバルに行って見つけたそうです。
このアニマル・レリジョン、そして第2週に登場する「カンパニーDCA」はなんとベースがサーカスです。日本でサーカスと聞くと大道芸のようなイメージかもしれませんが、西洋では身体表現としてのコンテンポラリーなアートとして注目されており、芸術学校の中にサーカス学科があったりするぐらいです。最先端のアートを紹介する国際芸術祭としては外せないものだったようです。
さて内容はというと、公園に直径約20メートルの柵で囲った円の中がステージです。カンパニー名を日本語に直訳すると“動物・宗教”。実際に動物、そして動物が持つ本能に触発された作品を発表しているのですが、本作はフォークリフトを牛に見立てて登場させます。その上に乗ったり飛んだり歌ったりピアノを弾いたり(!?)、ムチを持つ人間との掛け合いなど、アクロバティックな派手さとコメディ的な要素もあり、難しいことは抜きに大人から子どもまで楽しめる作品なのは間違いありません。
もっと詳しく知りたい方はコチラの記事をどうぞ。

以上、まずは第1週目の紹介から。
続いて第2週目もテンポよく紹介していきますので、しばしお待ちください!

TEXT:小坂井友美

   

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