アジアン・サウンズ・リサーチの制作現場へ突撃取材![岡崎シビコ屋上にて開催中!]

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少し前の記事 でも紹介させて頂いた、アジアン・サウンズ・リサーチ(プロジェクト・ディレクター:Sachiko M)。彼らが10月6日(木)~10日(月・祝)より岡崎シビコの屋上にて展開する「OPEN GATE2016」は、美術と音楽というジャンルの狭間を彷徨う新しい形の展覧会だ。

この「OPEN GATE2016」の開催を前に、ビジュアル系のほぼ全てのアーティストが10月1日に岡崎へ到着し、現在はプランを練りつつ作業を進めている模様。今回は、会場となる岡崎シビコで準備中のSachiko Mさんを突撃し、お話を伺ってきました!

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chi too 、Sachiko M Asian Sounds Research公式ウェブサイトより photo by渡部勇介

――今回はSachiko Mさん自身が集めたアーティストの方々ですが、そのセレクト基準は何かあったのでしょうか?また、どのようにオファーされたのですか?
このプロジェクトを説明するのは簡単ではありません。しかも今回は岡崎の百貨店シビコの屋上という天候に左右される会場です。その状況でこれまでに例のない企画への参加をお願いするのです。ですから、決して快適ではない状況での対応力のある人、その状況を楽しんで参加してくれそうな人。今回私はマレーシア、カンボジアにリサーチに行き、まずは美術作家に会ってきたのですが、「あ、やってくれそうだな」と様々な話をしながら探っていきました。オファーの内容は「会場が広い、風が強い、屋根がない、美術と音楽の間のような展覧会とサウンド・パフォーマンスが絡み合うようなものをやるのですけど、そこで何かやってくれませんか?」という感じです。あとは、アーティストにお任せです。ただ、お互いを理解していって欲しいし、空間を共有して欲しいということは伝えました。お互いの雰囲気を感じつつ、見えない空間を一緒に作りあげる感じです。

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Adam Kitingan(アダム・キティンガン:美術家 コタキナバル/マレーシア)
Asian Sounds Research 公式ウェブサイトより photo by 渡部勇介

――実際にこの場所をリサーチして、アーティストの皆さんはどのようなプランをしているのでしょう?
ふんわりとしたプランはそれぞれから聞いています。一人のアーティストは竹があるといいな、ということで、お寺の住職さんから竹をわけていただいてました。それで毎日竹の楽器やオブジェを作ってるのですが……間に合うのかな?(笑)また、「風が吹く」と伝えてあったので、みんな風で「何か動かせるかな」と考えていたようです。でも、思ったより風が吹かない日もあるし、吹くときはすごいので、危険かどうかも考慮しないといけません。ですが、それが「動き続ける展覧会」の良いところで、それを撤収する事もパフォーマンスの一部として行う事が出来ます。完成形やこうじゃなきゃいけないという事を目標としていませんから、時間限定の作品があってもいいのです。だから何をどこに置くかも決まっていません。それはミュージシャンも一緒で、場所や状況、周りの人たちの動きをお互いに気にしながら演奏、というか音を出す事になると思います。私も毎日、「どう調子は?」とヒアリングしながら何をしようとしているのかを把握して、そこから全体のおおまかなディレクションを考えるので、全貌は……いつ見えるのか何とも言えない、ずっと見えないかもしれないし、今見えている、聴こえている全てが全貌、だとも言えます。

――パフォーマンスとして予定されているのは10月6日(木)~10日(月・祝)の5日間です。毎日、同じパフォーマンスを行うのではなく、日々違うことを行うのでしょうか?
今回の参加メンバーの動きや作品、あとはお客さまの動きなどを取り入れながら5日間いろいろ考えてやっていくつもりです。昨日はこうだったから今日はこうしてみようか、というように。誰が何をやるのもまだ分からないので、絶対に同じにはならないですよ。会場は15:00からいったん公開しますが、作家はまだ作品を作っているかもしれません。また、音楽家によるサウンド・パフォーマンスも日没前後の17:00としていますが、その前から実は音を出していたり、いろいろ試しているのではないかと思います。大まかなディレクションはしますが、みんなのやっていることが面白かったら、そのまま私の合図でふわっと始めるかもしれないな……、という感じです(笑)。いつの間にかサウンド・パフォーマンス風になっている、かもしれません。

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chi too(チ・トゥ:美術家 クアラルンプール/マレーシア)
Asian Sounds Research 公式ウェブサイトより photo by 渡部勇介

――会場ではどのような形でパフォーマンスが行われて、お客さんはどのように動くのでしょうか?
お客さんの動きは自由ですが、会場内をゆっくりと“彷徨って”いただきたく事から始めようと思っています。広い会場ですから、同時多発的に何かが起こるというよりは、巡り歩きながらグラデーションのように音がしたり、しなかったり、作品と絡んだり、作品が動いたり、するんじゃないかな、と考えています。また、サウンドシステムを使わないので、どこで音が鳴るというのが分かりにくいかもしれません。小さな音を聞き逃すともったいないので、すごくゆるやかにガイドして、大まかな流れの中、遊牧民みたいに動くようにした方が良いかもと考えています。サウンド・パフォーマンスの時間はたっぷりあります。会場でゆっくりできますよね。自由にいろんなところをフワフワ彷徨っているうちに暗くなる。照明はつけませんから、暗くなったときに浮かんでくる音はまた変わってくるはず。そういうものをじっくりと、ゆっくりと、楽しんでいただければと思います。
ちなみに、アーティストも会場に出入り自由にしています。ずっと演奏してるとは限りませんので、お客さまに混じって一緒に歩いているかもしれません。そういう共有感を一緒に感じていただけたらいいな、と思います。すでに独特の時間の流れができつつあるので、ぜひその波に乗っていただきたいです。

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Adam Kitingan、Sachiko M 、米子 匡司(音楽家)、水内 義人(現代美術家)
Asian Sounds Research 公式ウェブサイトより photo by 渡部勇介

インタビューからも独特の空気感が漂うアジアン・サウンズ・リサーチ。場所を提供するだけで縛りはない。ただし個人それぞれで勝手に活動するのではなく、一緒に共有する。それが最も各アーティストの力が発揮され、なおかつ自分だけじゃない力も見つけることができるやり方かもしれない。

Sachiko Mさんは参加アーティストたちに対して「大変なオファーを出してるんだろうなって思うけど、とりあえず楽しんでもらうことを願います!」と言っていたが、それは観客に対しても同様のはず。何をやるか蓋を開けてみないとわからないけど、その場の空気を感じ、とりあえず楽しんでしまおう!

◎日々の活動状況はアジアン・サウンズ・リサーチ特設サイトでも公開中!
特設サイトはコチラ ⇒ http://www.soundsresearch.com/open-gate-2016

TEXT:小坂井友美

 

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