【公式ガイドスタッフによる裏ガイド 】①チケットはどれを買うのがベスト?

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「あいちトリエンナーレ2016」がいよいよ開幕を迎えた。会場の賑わいはもちろんだが、SNS上の写真からも、来場者が思い思いに作品を楽しんでいるのが伝わってくる。その光景にガイドブック制作側としてはひと仕事終えた感もあったが、実際に会場を回ってみると、まだまだフォローするべき情報が多いことに気付いた。このコラムでは現地のレポートとともに、裏ガイドブック的な情報も載せていきたいと思う。

さて、その一回目。イベントに行く時にまず考えること、チケットをテーマにしたいと思う。ここでは国際展と呼ばれる、常設の現代美術作品を見るためのチケットについて主に説明する。パフォーミングアーツやプロデュースオペラ、いわゆるイベント的色合いが強い催しのチケットについては後ほど。「あいちトリエンナーレ」は規模が大きいうえに内容も多岐に渡っているため、どうしても入場券のシステムが複雑になっている。できるだけ簡潔に説明していきたい。

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公式ガイドブックにはP129にチケットの詳細情報が記載されている。

そもそも「あいちトリエンナーレ」は、有料と無料の展示物が混在している。チケットがなくても見られる作品と、チケットがないと入れないエリアの作品がある。この違いを一覧できる場所は現状ないため、見たい作品が決まっている場合は、作品ごとの確認が必要になる。とはいえ、これだけ多くの作品が展示されていること、未知の作品との出会いが芸術祭の醍醐味であるため、有料か無料かを確かめてからチケットを購入するというシチュエーションは、そう多くない印象だ。有料も含めて気になるものはすべて見る、無料だけにしぼって見る、そのどちかに決めて回っている人が多い。無料の展示物を見ているうちに、有料エリアの作品にも興味がわきチケット購入に至る、というのが自然な流れだ。

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左が普通チケット、右がフリーパス。

チケット券種は大きくふたつ。普通チケットとフリーパスに分かれる。どちらも全作品を見ることができるが、違いは再入場できる期間だ。フリーパスは開催期間中、何度でも会場に入ることができるが、普通チケットは入場当日のみ再入場することができる。ちなみに再入場可能な日はチケット購入日でなく、入場した日。また会場ごとの仕切りになるので、今週は名古屋美術館の作品を見て、次週に長者町会場を巡る、ということも可能だ。注意したいのは、ここで言う会場というくくりは、展示施設のくくりともまた別であること。普通チケットの券面に記載があるので、事前に確認しておきたい。何度も足を運べる環境にいる方はフリーパス、一度しか足を運べない方は普通チケット、というのが一般的だろうか。個人的には、愛知県内にお住まいの方にはフリーパスをおすすめしたい。会社帰りや買い物ついでにフラリと寄ってみる、というのは芸術祭ならでは贅沢な時間の過ごし方だ。ちなみに岡崎、豊橋のみで使用できる安価なチケットも販売しているほか、中学生以下は全会場無料で入場することができる。夏休みで金欠気味のご家族にも、ぜひアート鑑賞をオススメしたい。

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普通チケットの中面には、入退場確認用のスタンプスペースが設けられている。入場、および再入場の際は、この面を提示する。

最後に気をつけておきたいのは、パフォーミングアーツとプロデュースオペラのチケットは別扱いになることだ。これらは一公演ごとにチケットが必要になる。常設展示物のチケットと、イベント公演はチケットは別、というわけだ。もうひとつイレギュラーなものとしては、映像プログラムがある。こちらはフリーパスだけでなく、普通チケットで押印済みのものでも、期間中なら何度でも再入場することができる。

ちなみに筆者はフリーパスを前売券で購入した。当日券でも3600円という値段設定を考えると、あれこれ考えなくて済むフリーパスが、やはりコストパフォーマンス良く感じる。NADiff 愛知さんで買ったパスケースに入れて使用している。

TEXT:阿部慎一郎

 

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