公式ガイドブック編集スタッフがジェリー・グレッツィンガーの制作現場に潜入!

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あいちトリエンナーレ2016のチラシやポスター、公式ガイドブックの表紙などにも起用され、この芸術祭のキービジュアルとしても使用されているジェリー・グレッツィンガー。
愛知県美術館の展示を観にいった人は、壁面全面に広がる彼の作品に圧倒されたのではないだろうか。

あいちトリエンナーレ2016が開幕する数日前、公式ガイドスタッフはジェリー・グレッツィンガー氏の開幕前の展示準備中の会場を訪ねた。

彼は日本で、もっと言えば、世界でもあまり詳細が知られてないアーティストである。それもそのはず。齢70歳を超える彼だが、数年前までは芸術家として認知されていなかったのだから。彼の作品は、自らが描いた1枚1枚のパネルを並べて、巨大な空想の地図を構築するというもの。その総数なんと3000枚以上。こんな数が一朝一夕で作れるわけはなく、作り始めたのは1963年から。発表するためではなく、ただ自分の遊びとして作っていたのだという。実際に間近で見るとわかるのだが、ただのひとり遊びというには信じられないほど図柄や配色などが目を引き、それはパネル1つ1つを見続けても飽きないほどだ。

全体像

公式ガイドブックを制作する過程で、作品について知れば知るほどジェリー氏個人にも興味がつきなかった我々スタッフは、喜び勇んで現場に到着。そしてなんと、ジェリー氏本人にもご対面することができた!こちらが勝手に想像してたように、とても気さくなおじいちゃん(すみません……)で、いわゆるアーティスト然とした人物というよりは、むしろイタズラっ子のような無邪気な人物。展示作業中である作品を前に、いろいろ教えてもらうことができた。

ルールブックとカード

彼が持つ手書きのルールブックには、この作品を作るうえでのいろんな仕掛けが記されていること。完成したパネルをカラーコピーし、その上にさらに絵柄を重ねて層になっていること。各地図にはいくつもの次元があること。1つ作ったパネルの最後の色から、次のパネルは描きはじめるということ。手描きのカードを引いて次のどのパネルに着手すべきかを決めていること。“侵食する空白”と名づけた地図上の白い部分や、地図上には登場していない「Black-Ness」(ネッシーとかけている。怪物ではない存在はそうともいえる、ただの言葉遊び)の存在こと。……おそらくまだまだこの作品、いやゲームを楽しむためのルールはもっと詰まっているのだろう。

港監督と作品
今回の芸術監督である港千尋氏も現場に。その魅力にいち早く気づきあいちトリエンナーレ2016への参加をオファーした。

そんな背景を知らずとも、まずはじっくりそのビジュアルを観てみてほしい。全体の広がりを、そして1枚1枚のパネルを見て楽しんでもらいたいと思う。
興味が出てきた人は、ジェリー・グレッツィンガーのインタビューもチェックしてみよう! → コチラ

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編集長(阿部慎一郎)とアートディレクター(伊藤敦志)が、「あいちトリエンナーレ公式ガイドブック2016」と、書店特典のブックカバーをジェリー氏にプレゼント

 

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