2011年度の2回目のトリエンナーレスクールが開催されました。
今回はギャラリストの小山登美夫氏をゲストにお迎えし、世界のアートマーケットの中での日本の現代美術について、歴史と現状、今後の展望などについて語っていただきました。
まず、始めに「アートマーケットが影響を受ける芸術祭」についてお話いただきました。
小山氏からは、ヴェネツィア・ビエンナーレ、ホイットニー・ビエンナーレ、カーネギー・インターナショナルなどが挙げられました。これらは共通して「選ぶ人たちに、良い意味での"権威"があり」また「長きにわたる歴史の積み重ねがある」ために、作家が注目されるきっかけとなり、結果マーケットに展開する、とのことでした。
その意味では、始まったばかりのあいちトリエンナーレはまだまだ影響力は小さいものの、今後の積み重ね次第という発言がありました。
続いて、ヨーロッパ各国やアメリカのアートマーケットの特徴や現在、香港を筆頭に注目を集めているアジアなど世界のアートマーケットの動向について紹介されました。
また、アートマーケットにとっての最重要イベントであるアートフェアについてはアート・バーゼルの事例をお話しいただきました。
最後に、日本の現状と動向について。
小山氏はバブル崩壊までの公立美術館が次々と設立されたことやその際に収集されたコレクション、そうした美術館の高い入場者数、あるいは日本でのトリエンナーレが都市型のものと地方型のものとが複合的に開催されていることなどに言及しながら、「日本の美術資産は豊かだ。ただ地方に分散し過ぎているために、それが市民に見えにくいというのが現状。各地のコレクションや施設を有効活用していくことが出来ると良い」とお話されました。
当日は、開場前から行列ができるほどの盛況で、小山氏のお話にあった「日本には"見る"アートマーケットとしての可能性がある」という言葉を裏打ちするかのようでした。
質疑応答の時間では「ビデオアートやサウンドアートはどのように取り扱われるか?」「小山さんがこの仕事を選んだ動機は?」といった質問が受講生から活発になされ、時間一杯までお答えいただきました。
国内外のアートマーケットの現状や歴史について幅広い観点からお話をうかがうことができ、非常に濃密な時間であったように感じられました。
次回のトリエンナーレスクールは2月25日(土)。
ゲストは第54回ヴェネチア・ビエンナーレ日本館のコミッショナーを務めた植松由佳氏です。
みなさまのご参加お待ちしております。
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